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第8回「ラフマニノフ国際ピアノコンクール in LA」 コンサート調律師(MPA) 大竹 隆典
昨年6月、カワイアメリカの地元ロサンゼルスにあるウォルトディズニーコンサートホールでラフマニノフ国際ピアノコンクールが開かれました。使用ピアノはカワイSKEXの1台だけです。
ヤッタ!これなら誰も選んでくれなかったらどうしようなどという心配はないしファイナルまで皆が弾いてくれるのだ、と正直思いました。
普通大きなコンクールでは各社が提供したフルコンが4台や5台も舞台に並び1次スタート前にセレクションが行われます。選んでくれたとしても2次,3次と進むうち残念ながら弾く人がいなくなってしまえば我々もファイナルをまえにして会場を去ることになります。
でもせっかくだから最後まで聞いて行ったらって? いえ仕事がなくなればそんなことも言っていられません。
さて、セレクションのない今回は別の試練がありました。1次前の3日間朝10時から夜10時まで休みなしの12時間1人1時間づつ全員が1次のステージでリハーサルするというのです。さらに翌日から4日間の1次も全員がこの1台を弾きます。リハであれ本番であれ弾かれている間は弦が切れるかもしれませんし雑音が発生しないとも限らないので集中して聞いていなければなりません。これまで1次を全員聞くということはなかったので審査員の先生方のご苦労身に沁みました。
しかしファイナルが約束されている今回それくらいの苦労は何でもありません。ピアニスト達から山ほどの注文も覚悟していました、がなんとほとんど全員がとても弾き易いのでこのままにしておいてほしいと言うのです。いつもはセレクションでご自分が選んでも皆それぞれ注文はあるものです。最新鋭のブラックカーボンアクションが功を奏したか?私の調整が良過ぎたか?(笑)おそらく皆同条件のこの1台を弾くというピアニスト側の心理的何かもあるのでしょう。
年齢資格U30の今回2人とも参加者最年少18才の中国とロシアの若い才能あるピアニストが1位と2位という結果となりました。
どのコンサートやコンクールでも丹精込めて調整したピアノからピアニストの渾身の演奏が聴ける、聴衆の皆さんに聞いてもらえるというのは全ての苦労が報われる最高に幸せな瞬間です。
ここLAのディズニーホールでまたひとつ幸せな思い出ができました。
ディズニーといえばミッキーマウスですがカワイグランドピアノのすべてのモデルにもれなくかわいいミッキーマウスがなんと2匹も付いて来るのをご存知でしょうか?
詳しくはカワイショップ店頭にてお確かめください。
もうカワイグランドご愛用のお客様は最低音と最高音の真下のピアノ底をよく見てください。
ホラ、いましたね?
大竹 隆典 (おおたけ●たかのり)
1981 サービスセンター東京勤務。
1982 サービスセンター名古屋勤務。
1991 カワイヨーロッパ研修。
1993 ピアノ研究所勤務。
1996 中部支社勤務。
2003 ピアノ研究所勤務。
2004 カワイアメリカ勤務。国際コンクール歴:(主なもの)
・サンタンデール国際(92年)
・ヴァンクライバーン国際(93年)
以上はアシスタント担当
・ウイリアムカペル国際(96年)
・ウイリアムカペル国際(98年)
・アトランタ国際(02年)
・ラフマニノフ国際(05年)趣味:スキー&スノボ、ギター
特技:出張の旅 (昨年間234日)
掲載元:「あんさんぶる」2006年11月号より転載。(あんさんぶる編集室に転載許可済み)
あんさんぶる編集室(カワイ音楽教育研究会 機関誌)に無断で転載することを禁止します。
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