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 ホーム(ニュース)コンサート調律師 MPA のひとりごと第7回「第1回リヒテル国際ピアノコンクールの思い出」

第7回「第1回リヒテル国際ピアノコンクールの思い出」 コンサート調律師(MPA) 栗栖 真治

昨年6月、リヒテルの生誕90年を記念して行われた第1回リヒテル国際ピアノコンクールでの調整のため8年ぶりにモスクワを訪れました。

このコンクールの最大の特徴は年齢制限が22歳以上ということ!そして集まったのは名立たるコンクールの優勝者や教授といった人たち。最年長は「私はあそこに座っていてもおかしくないのだけれど」と審査員席を指さした57歳のバディム・サハロフさん!

会場はモスクワ音楽院のボリショイホール。ロシアで最も権威のある、そしてそうそうたるピアニスト達が演奏した舞台に立つだけで言いようのない感動に包まれます。

そのホールを深夜たった一人で独占し、どうすれば良い音で鳴ってくれるかな?とピアノと相談しながら調整する時間は、もしかすると私たち調律師にとって最高に贅沢な時間かもしれません。

ところで、モスクワで困る事の一つは言葉。英語を話せる人が少ない上、こちらがロシア語を話せなくても一方的にロシア語で話してきます。でも不思議なことに慣れてくると話していることは分からなくても、意味は分かるようになってきます。

夜中にこわい顔した警備員さんが来て「○△□#%&…」、「ふむふむ、終わったら電気を消して帰れと言っているな」といった具合…。

コンクールは予選からハイレベルな演奏が続く中、スタインウェイを弾いていたエルダー・ネボルシンさんが「客席で聞いているとカワイの音がとても良く鳴っているから」とピアノを変えてファイナルでコンチェルト2曲を演奏、そして見事1位に!「カワイのピアノを弾いて本当に良かった!」と大満足の顔で言われた時はほっと一安心でした。

久しぶりに訪れたモスクワは以前とは大きく様変わり。一番驚いたのは日本食レストランの数の多さ!どこでもおいしいお寿司が食べられます。年齢制限のないこのコンクール、次回は皆さんも参加されてみてはいかがですか?

 

栗栖 真治 (くりす●しんじ)

1988年3月河合楽器製作所入社 横浜技術課勤務。
1996〜98年海外研修。後にピアノ研究所、2002年より仙台支社勤務。
2005年5月よりカワイヨーロッパ勤務。

趣味:バイクと子供(2歳男子)と遊ぶこと
特技:どこへ行ってもすぐ馴染むこと
国際コンクール歴:(主なもの)
・仙台国際(日本・04年)
・リヒテル国際(ロシア・05年)
・サンタンデール国際(スペイン・05年)
・カサグランデ国際(イタリア・06年)

 

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掲載元:「あんさんぶる」2006年10月号より転載。(あんさんぶる編集室に転載許可済み)
あんさんぶる編集室(
カワイ音楽教育研究会 機関誌)に無断で転載することを禁止します。

 

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