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 ホーム(ニュース)コンサート調律師 MPA のひとりごと第6回「第8回シドニー国際ピアノコンクールよもやま話(2)」

第6回「第8回シドニー国際ピアノコンクールよもやま話(2)」 コンサート調律師(MPA) 小宮山 淳

シドニー湾入口に堂々と構え、観光スポットにもなっているシドニーオペラハウスは広いステージ、高い天井、4階席・バルコニー席まである客席、木の床、良く反射する壁という具合に、これまでの予選会場と全く違うアコースティックを持つ。当然の事ながらピアノのキャラクターも、オペラハウス大ホールに合わせて変えていく必要がある。コンテスタントは、粒立ちが良い発音で、ffでも割れない音質が必要なモーツァルトのコンチェルトと、大編成のオーケストラに負けないクリアーな発音と、ppp〜fffの大きなダイナミックレンジが必要なロマン派以降のコンチェルトを、それぞれ1曲づつ、違うオーケストラと共演しなくてはならない。

6人のファイナリストのうち2名がSK-EXを使用しつづけてファイナルまで進んだ。そのうちニュージーランドから参加した男性ピアニストは、今までの各ステージで「ピアノは良い」としか言わない。彼はモーツァルトピアノコンチェルトK.453とラフマニノフピアノコンチェルトNO.3を演奏した。もう一人の日本人女性参加者からはロマン派以降のコンチェルトの前に「大きくて明るい音が出るようにして欲しい」と切望された。彼女はモーツァルトピアノコンチェルトK.466とプロコフィエフピアノコンチェルトNO.3を演奏した。モーツァルトコンチェルト審査の後、ロマン派コンチェルトの審査までの間、23:00〜8:00を各社に3時間ずつ調整時間が振り分けられた。アクション調整を変え、ハンマー硬度を整え直し、調律を行い、音を造り変え最後のステージの準備を終えた。

2人が演奏したラフマニノフとプロコフィエフ、全く正反対というキャラクターではない事は、音造りに多いに助かった点である。プロコフィエフを演奏し第4位に入賞した島田彩乃さんからは「楽に大きく明るい音が出せた、有難うございました」とのコメントを頂き、ラフマニノフを演奏し第1位に輝いたジョン・チェン氏からは「良いピアノだった」と最後迄同じコメントを頂いた。

6月21日、真冬の南半球シドニーに入り1ヶ月を過ごした後、7月17日に灼熱の日本に戻り2004年のシドニー国際ピアノコンクール出張は終了した。

 

 

小宮山 淳 (こみやま●あつし)

1987年河合楽器製作所入社 SKピアノ研究所勤務。
1992〜94年海外研修。帰国後2006年より音楽振興会に所属。 
趣味:ハイキング、燻製
特技:料理
国際コンクール歴:
・ミュンヘン国際(ドイツ1993)
・チャイコフスキー国際(ロシア1994,98,2002)
・ブゾーニ国際ピアノコンクール(イタリア1994,95)
・ラフマニノフ国際ピアノコンクール(ロシア1997)
・ショパン国際ピアノコンクール(ポーランド2000)
・浜松国際ピアノコンクール(日本2003)
・シドニー国際ピアノコンクール(オーストラリア2004)

 

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掲載元:「あんさんぶる」2006年9月号より転載。(あんさんぶる編集室に転載許可済み)
あんさんぶる編集室(
カワイ音楽教育研究会 機関誌)に無断で転載することを禁止します。

 

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