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第2回「ショパンコンクールよもやま話(2)」 コンサート調律師(MPA) 村上 達哉
コンクールがスタートして最初の一週間は睡眠時間が3時間という日々が続いた。
そして予選終了、やっと6時間寝られる幸せな思いで仕事後の一杯(数杯?)のあとは倒れこむようにベッドへ。その間には予選通過者の発表が・・・。
しかしその結果に笑いそして泣くのはピアニストだけではない、調律師もそうである。いろんなコンクールに行っていると知り合いのピアニスト達が増えてくる。そんなコンクールの友人達が通過できないのを見ることもまた我々にとっては辛い事なのである。
時間の短い今回のショパンコンクールの予備予選、またその他のコンクールの一次予選では、本当の実力者が落とされてしまうことがよくある。コンクールでは結果が全てであるが我々は決して結果だけを追っているわけではない。近い将来必ずや成功する力を持っているピアニスト達がごろごろいる、そんなピアニスト達と知り合う事も楽しみの一つである。
コンクール後半になって時間にゆとりが出来てきた時にピアニスト達と美味しいものを一緒に食べたり、飲んだり、いろんなことを話したりすることはピアニスト、調律師の相互にとってまた刺激的な時間を過ごす事ができるのである。
どうか私が仕事をした時には「村上さん、どうです?」って是非誘って欲しいな〜。私も実は音楽家(現役テノール)ですので場が許せばコンサートもできるし(実際イタリアではコンクール後に優勝者と舞台で歌って楽しんだり・・・)、でも本当はいたってまじめな調律師ですけど(自分で言うかな??)。
さて、今回のコンクールでは、セミファイナルで通過できなかったピアニスト達からピアノについて絶賛してもらった事、また4位に入った関本さんからファイナルではピアノはパーフェクトでした!って演奏後言ってもらえたことがとても喜びだった。
でももっともっとピアニスト達の音楽をかきたてるような素晴らしいピアノを作ってみんなに弾いて、そして聴いてもらいたいなと思い、またピアノの調整に取り組んでいる毎日を送っている。
読者の皆さん、是非どこかのコンサートで会いましょう!(私の歌のコンサートに来てくださっても会えますけど・・・!?)。
次はどこのコンクールでしょうか?
ファイナリスト根津理恵子さんのリハーサル風景
村上達哉 (むらかみ●たつや)
1988年、国立音楽大学声楽科卒業。
1988年河合楽器製作所入社。SKピアノ研究所所属。
趣味:スポーツ全般、絵画鑑賞、映画鑑賞。
特技:声楽テノール(ソロコンサートを中心に、オペラの主役など、年間20くらいのステージをこなす)国際コンクール歴:(主なもの)
・ショパン国際(ポーランド・2005年、2000年)
・ダブリン国際(アイルランド・2006年)
・ラフマニノフ国際(アメリカ・2002年)
・ヴェンナダモッタ国際(ポルトガル・2001年)
掲載元:「あんさんぶる」2006年5月号より転載。(あんさんぶる編集室に転載許可済み)
あんさんぶる編集室(カワイ音楽教育研究会 機関誌)に無断で転載することを禁止します。
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