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ピアニスト 松本和将のロシア名曲選 開催レポート
〜レクチャー&コンサート Vol.2 ラフマニノフ〜
【レクチャー】第2回 2019年6月5日(水)10:30〜12:30 
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 ピアニスト松本和将さんによるピアノ講座「松本和将のロシア名曲選〜レクチャー&コンサート Vol.2 ラフマニノフ〜」の第2回が開かれました。

 今回取り上げられたのは、前奏曲Op.3-2「鐘」、前奏曲Op.23-2、3、4、5、6、7、前奏曲Op.32-12です。

 まずは前奏曲Op.3-2「鐘」から見ていきます。二十歳になるかならないかで書き、名声を得ることになったという作品です。メロディーが浮き上がるといった作品ではなく、合唱で歌っているような、和声の美しい曲。第3小節の各音符のテヌートとスタカートが書き分けられている部分は音色を弾き分けます。第7小節の盛り上がる部分、ここはソステヌートペダルを使うのも良いが、松本さん自身はダンパーペダルを少しずつ踏み替えているとのこと。濁りすぎないようよく聴くことが大事です。ただ、少し濁っているのもロシアの混沌とした感じが醸し出されて良いのかも、と松本さん。

 中間部のAgitatoは情景が動き出すところ。左手cisのオクターブを充分響かせます。右手の分散和音でうねりを出し、和音をかき混ぜます。この分散和音の連なりを弾くには、重心を落として、指の力を抜いてなおかつしっかり支えることが大事です。

 Tempo primoに入る部分は繋がりを大事に、機械的にならないように。

 前奏曲Op.23-3。第1拍目の和音、メゾフォルテでテヌートが付いています。気持ちはフォルテだけれど抑えているといったところです。そしてその気持ちが中間部に表れ、Tempo1で落ちつくことになります。中間部のUn poco piu mossoのしばらくして始まる十六分音符の音型は、テヌートとアクセントが書き分けられているので、よくイメージして弾き分けます。

 前奏曲Op.23-4。左手が分散和音は寄せては返す波、弦楽器のイメージです。その上で右手のメロディーを載せるのが難しいところ。二分音符と四分音符で途切れがちになるのですが、うまく繋げていくようにします。 

 前奏曲Op.32-12。痛みを表しているのにそれが続かないような、そんなイメージの曲です。左手メロディーの歌が続いていかない感じがあります。若い時に書かれた前奏曲Op.23とは異なる心情だったのか等考えさせられます。

 前奏曲Op.23-6。こちらは歌が長く続いていく曲です。左手が右手のメロディーを補うように動いて響きを醸し出すのですが、出しすぎないように。松葉のクレッシェンドとデクレッシェンドが書かれている部分がありますが、このデクレッシェンドは小さくするということではなく、松葉の中心部分を歌いたいという意味と取るのが良いと思います。強弱記号が書かれていない部分もどう感じて弾くかが大事です。

 前奏曲Op.23-7。和音が流れてうねりを出している曲です。人の心の動きを捉えた、心象風景を描いたと言える作品で、曲が進むにつれて思いが溢れていきます。

 前奏曲Op.23-5。弾く人によって速さが異なる曲です。Alla marciaなのですが、和音の響きの世界観を大事にします。第3、4小節で変化していく和音の響きをよく感じること。ラフマニノフは気持ちを和声感に表しています。第17小節のフォルテ部分は、力を抜いて重さを載せていきます。ベートーヴェンやフランス物とはまた違うフォルテで、角を作らないで腰から重さを載せるイメージです。

 前奏曲Op.23-2。速く弾くのですが、存分に音を鳴らします。第4小節の四和音から連なる三連符等、難しい部分が多くありますが、力を入れずに重さを出すようにします。中間部は左手の美しいメロディーを出します。ペダルを少しずつ踏み替えながら繋げます。

 レクチャーは、受験でラフマニノフ作品を弾いた時のことや録音時のこと等のお話を交えつつ、腕や手の使い方を実際に示しながら行われました。そして「示されたことを鵜呑みにするのでなく、自身でその内容をよく考えながら練習していくことが大事」とのメッセージも。充実した2時間はあっという間に過ぎました。

 7月5日(金)には、2回にわたるレクチャーで取り上げた作品を中心にしたコンサートが行われます。

(K.A)

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