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ロシアン・ピアノスクールin東京・
NHK Eテレ「らららクラシック」でもお馴染み
ロシア音楽学者 一柳 富美子 公開講座 開催レポート
〜ロシアピアノ音楽の真実〜
ロシア音楽学者 一柳富美子先生による好評のロシア音楽講座続編!
第4回 2019年4月17日(水)10:30 〜 12:30 (開場 10:00)

  

 ロシア音楽学者、一柳富美子先生による公開講座シリーズ『ロシアピアノ音楽の真実』が開催されました。

第4回目は作曲家、ラフマニノフがテーマ。日本語で書かれたラフマニノフに関する包括的な文献は限られていることもあり、多くの聴講者が集まりました。

 前回の講座において、現在流布しているロシア音楽史にまつわる情報は、事実と異なる内容が多いのだとわかりましたが、今回のラフマニノフでも同じことが言えます。解説文などでよく見かける“事実”を指摘しながら、さまざまな例証とともに“真の事実”が示されていきました。

 ラフマニノフに関する本のなかには誤訳のまま重版をされているものもあり、残念ながらその内容が正解とされ続けていると一柳先生。本に限らず教育的な観点から制作されたテレビ番組や、作曲家の“伝記映画”とされているものでは、脚色が加えられているものも……。プログラムの作品解説でも「〈怒りの日〉の旋律を多くの作品で引用した」という記述は目にしますが、実際は本人も言及した〈パガニーニの主題による狂詩曲〉《交響的舞曲》の2曲のみ。「音楽学的に見ると冒頭4音のみの一致では引用とは言えず、偶然だと考えます。真正な引用であるかを判断するには、作曲家それぞれの“引用の癖”を研究すること」と言い、どのようなメディアであっても、音楽的な知識を持って丹念に資料にあたることが重要だと話されました。

 ラフマニノフの作品に取り組む人は多い反面、専門家は極めて少なく、入手できる正確な情報も潤沢とは言えません。演奏会プログラムに掲載するための文章を書く場合などは、何かを参考にしてまとめるより、自らが弾いて感じたことを書いたほうが良いのかもしれません。作曲家の本質に迫るには今回のような講座を受講し、正確な研究・分析に基づいた情報でラフマニノフとその作品を考える必要性がありそうです。

(R.K.)

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