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ロシアン・ピアノスクールin東京・
NHK Eテレ「らららクラシック」でもお馴染み
ロシア音楽学者 一柳 富美子 公開講座 開催レポート
〜ロシアピアノ音楽の真実〜
第1回 2018年4月11日(水)10:30 〜 12:30 (開場 10:00)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

 

 ロシア音楽学者の一柳富美子先生による公開講座「ロシアピアノ音楽の真実」の第1回が開かれました。

 今回の講座は「19世紀ロシア社会とロシアピアニズムの歴史」と題され、「19世紀ロシア音楽史概観」「ピアノ後進国の強み」「アントン・ルビンシテーインの功績」「『展覧会の絵』と『四季』」の4項目に分けて進められました。

 まずはロシア鍵盤楽器史を見ていきます。

 注目すべきは、ロシアはピアノへの目覚めが遅かったこと。そして1802年にクレメンティがペテルブルグでピアノの支店を開業したこと。初めは西ヨーロッパからピアノを輸入していたが、次第に追いつかなくなり、1810年にロシア初のピアノ工場が誕生しています。1842年にはピアノの楽譜雑誌『ヌヴェリスト』が創刊し、またリストが来て演奏会を開くなど、ピアノ界の素地が次第に厚くなっていくことがわかります。

 しかしピアノ後進国であるということが実は強みであることが語られました。つまり、ロシアにピアノが紹介された時は、その機構が現代楽器に近いものであったことや、ロマン派のピアノ曲が普及していたこと、音楽院のカリキュラムが先進国に倣って良いものであったことなど。音楽大国になる基礎がここで出来上がったということです。

 その中でも、アントン・ルビンシテーインの功績は大きいものがあります。西ヨーロッパでピアノ先進国の事情を体験した上での、音楽院の開校や演奏会の開催、自身による作曲活動など、実に八面六臂の活躍をしたとのこと。彼のピアノ協奏曲第4番も聴かせてくださいました。その後、ムーソルグスキイの組曲『展覧会の絵』とチャイコーフスキイの組曲『四季』についても、演奏を一部聴きつつ現代における誤解について解説されました。

 『展覧会の絵』は間違った曲解釈が流布しているが、これは全てロシアの民衆の様々な姿を描いたものであるということです。

 『四季』はタイトル誤訳が多いとのこと。キリスト教とは無縁でロシア土着の歳時記を音楽化していることを理解すると、特に、2月『冬送りの祭』、4月『待雪草』/『雪割草』、7月『草刈り人の歌』、12月『新年祭』であることがわかるとのことでした。

 最後には質問の時間が設けられ、その一つ一つに一柳先生は丁寧に応えてくださいました。

 次回6月21日(木)は第2回「ポスト国民楽派のピアノ音楽」となり、タネーエフ、リャードフ、グラズノフ、アレンスキー、メトネルについて解説してくださいます。

(K.A)

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