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現代ピアノの為の演奏技術講座 開催レポート
〜入門からヴィルトゥオーゾ・テクニックに至るまで〜
講師: 高田 匡隆
第2回 2016年11月29日(火) 10:30〜12:30 
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」 

  

 高田匡隆先生の演奏技術講座、二回目の今回、とりわけ強調されていたのは「音の立体化」というキーワードです。複合的に指を使うことの重要さ、またそれによって音楽にとってのイントネーション、つまりアーティキュレーションを意図的に作ることを、先生はツェルニーの100番練習曲、同30番練習曲、そしてブルグミュラーを通して、丁寧に教えて下さいました。

 まず先生はアーティキュレーションの重要性と、その意味を説明されました。これは「すべての音を均等に出す」のではなく、音楽の様々な要素を聴きながら、重要なものを「発音」しながら音楽を作っていくこと、というところに要約されるのではないかと思います。この美しい音楽を演奏し聴かせるための最重要要素を身につけるためには、本講座のタイトルにもあるように、「技術(テクニック)」が必要なのです。

 その後、先生は具体例を交えて指や腕の使い方をレクチャーされました。ツェルニーは単純でつまらない練習曲と言われますが、実は基本的な音形、拍子、和声の形、フレーズ構成が一曲一曲にしっかりトピックとして取り入れられている、つまりアーティキュレーションのための「技術」を得るには適している練習曲なのだと感じられました。先生曰く、ツェルニーの練習曲は「指が回る」ようにするためのものではないのです。先生はチェルニー100番練習曲から2番、5番、30番練習曲から7番と15版を取り上げ、曲中の和声の変化、3拍子、アルベルティ・バス、分散和音、レガートなどといった、音楽を構成する重要な要素をそれぞれ取り上げ、それぞれの音の出し方を細かに、具体的に説明されていました。

 先生が教示してくださったテクニックをここで逐一挙げることはしませんが、例えば、腕を重りとして捉え、この重りを「落とす」こと、鍵盤を「つかむ」こと、そして鍵盤を離す際に指を「引く」ことを組み合わせることで様々に音色が変化する、という指摘は印象に残りました。実際に筆者が帰宅してから教えていただいた奏法を様々に試してみると、確かに音色が如実に変化し、目から鱗が落ちるようでした。

 ツェルニーに続いて、先生はブルグミュラーの練習曲を取り上げられました。この練習曲集の大事なところは、題名がついていることです。この題名は、音楽の演奏家にとって必要な、イマジネーションやビジョンや音楽の意味を自由に発想させてくれるもの、と先生はおっしゃっていました。テクニックに関しては、メロディーを通じたスケール(音階)の立体化や、重音のスケール、舞曲の性格などを、〈正直〉、〈前進〉、〈スティリアの女〉を通して指摘されていました。

 会場に集まった先生方からは、ときに感嘆の嘆息が漏れるほど、非常に参考になる講座でした。お子さんを教える先生方だけではなく、アマチュアのピアニストの方々に広くおすすめしたいと感じました。来年には新シリーズもあるとのこと、どのようなものになるのでしょうか、期待が高まります。

(A.Y)

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