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ピアニスト 上原 由記音 スペイン音楽講座 開催レポート

エンリケ・グラナドス

第2回 2015年9月16日(水) 10:30〜12:30
スペイン舞曲集(1883〜1890)」 
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 本日はクラシック音楽の中でも、スペイン出身の作曲家達の作品をレパートリーとされており、今年日本スペインピアノ音楽学会を設立した上原由記音先生による、グラナドスについての講座でした。第2回目となる今回の講座では、グラナドスのデビュー作であり、今でも多くのピアニストに愛される《スペイン舞曲集》が採り上げられました。

 全4巻・全12曲から成る《スペイン舞曲集》はそのタイトルの通り、スペインに伝わる踊りの名前や、スペインに流入しているイスラムの文化にまつわる名称が、1曲ずつにつけられているのですが、グラナドス自身による命名は第4番〈ビリャネスカ〉と第7番〈バレンシアーナ〉のみ。他は出版社によって違うものも多く、この舞曲集を弾きこなすためには弾き手が自分でもう一度、この舞曲が表しているであろう世界を想像する必要があります。

 楽曲の世界をイメージする手がかりに、上原先生はスペインの様々な風景や人々の様子をおさめた写真を見せてくださいました。また第6番がマークス社の楽譜で〈ホタ Jota〉と名付けられていることにちなんで、高音のギターにのったステップが印象的なホタの映像もお披露目されました。実際、この舞曲集はギターをつまびくような音型も度々現れており、ピアノ1台で演奏しながらも様々な音色を想像して楽しむことが出来ます。

 上原先生によるこの舞曲集の演奏は、とても心地よい音色とテンポの揺らぎがありました。特に印象的だったのは、高音と低音のコントラストが美しかった第2番〈オリエンタル〉、夜明けに始まってまた夜に戻るような情景が浮かぶ第4番〈ビリャネスカ〉、左手の旋律が美しい第7番〈バレンシアーナ〉、スタッカートの入り組んだ音と微細な音の揺らぎが魅力的な第11番〈アラベスカ〉でした。最も有名な〈アンダルーサ〉では、特別ゲストの登場でギターとピアノ両方での演奏が実現しました。

 日本では、まだまだ聴く機会の少ないスペインものの作品ですが、今回の講座を機にその美しさに惹かれた方も多いのではないのでしょうか。上原先生やスペイン音楽を愛するアーティストの皆様の活動で、これからもっとスペインの薫り漂う音楽が広まることを願っています。

(A. T.)

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