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ピアニスト 上原 由記音 スペイン音楽講座 開催レポート

エンリケ・グラナドス

第1回 2015年6月5日(金) 10:30〜12:30
グラナドスの生涯(1)と「詩的なワルツ集(1889年)」「スペイン謡による6つの小品(1880年代)」 
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 スペイン音楽のスペシャリストでもあるピアニストの上原由記音先生による、エンリケ・グラナドスをテーマにした「スペイン音楽講座」(全4回)の第1回が行われました。

 グラナドスはスペイン近代民族主義の作曲家で、ピアニストでもありましたので、その作品にはピアノ曲が数多く残されているそうです。残念ながら、日本では演奏される機会がそれ程多くはないようですが、来年2016年はグラナドスの没後100年、翌17年には生誕150年という節目を迎えるそうなので、これから次第にグラナドスを取り上げるコンサートは増えていくのではないでしょうか。この講座では、初期の作品から晩年の大作までの主要作品を、演奏を交えてご紹介くださるそうなので、この機会にその生涯や作品を知ることは、これからの研究や演奏、鑑賞に大いに役立つに違いありません。

 第1回のテーマは、グラナドスの生涯(1)、プログラムは「詩的なワルツ集(1889年)」、「スペイン民謡による6つの小品(1880年代)」、「カプリッチョ・エスパニョール(1890年)」です。

 スペインというと、闘牛やフラメンコなどのような南部の激しい表現をイメージしがちですが、グラナドスはそれに抵抗があって、非常にエレガントで優美な楽想を持っていたそうです。

 講座では、絵や写真、地図などをスクリーンで紹介しながら、グラナドスが結婚した頃までのお話、交友関係等々、グラナドスに関連する様々なことが説明されました。

 今回は上記のように初期の20代半ば頃までの作品がプログラミングされていましたが、第1回ということで、グラナドスを初めて聴く人がいるかも知れないので、こんなに有名な曲を書いた人だということを知ってもらうために、「アンダルーサ」を演奏なさいました。これを弾くことは前日思いついたそうですが、確かにグラナドスを知らなくても、この曲は聴いたことがあるという方はきっと多いでしょう。

 本来のプログラムの最初の曲は、「詩的なワルツ集(内密なページ)」で、イントロダクションと8曲のワルツから成ります。ギター曲にもアレンジされていて、ピアノよりもギターの方で有名だそうです。民族的ではなく、非常にエレガントなワルツで、大人の初級者向きの曲も何曲かあるようです。

 「スペイン民謡による6つの小品」は1曲目のワルツに比べてもう少し民族性が強い作品で、民族的なイマジネーションが現れているタイトルがそれぞれの曲に付いています。6つの小品の前に《前奏曲》が置かれているので、7曲から成ります。演奏の合間に記譜上の不備と思われることをいくつか指摘なさいました。

 グラナドスの音楽の楽しさが感じられて、非常に興味をそそられる講座でした。これからグラナドスの最高傑作と言われる「ゴイェスカス」に向かっていろいろな作品が紹介されるようで、今後も楽しみです。

 第2回は9月16日に「スペイン舞曲集」がテーマに、第3回は11月24日にグラナドスの生涯(2)として「ロマンティックな情景」と「演奏会用アレグロ」が、そして第4回はグラナドスの命日から100周年の記念日になる2016年3月24日に大作「ゴイェスカス」が取り上げられます。

(K.Y.)

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