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南雲竜太郎 公開講座 開催レポート
シューマン
〜人生を通して探るピアノ曲の魅力〜 
(演奏とお話・全3回シリーズ) 
第1回 ヴィルトゥオーゾピアニストを夢見ていた青年期
2014年4月9日(水) 10:30〜12:30
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 ピアニスト南雲竜太郎先生による連続公開講座「シューマン〜人生を通して探るピアノ曲の魅力〜」がパウゼにて始まりました。幼き日の「子供の情景Op.15」との出逢いから現在に至るまで、シューマンの音楽をいつも身近に感じ音楽の道を歩まれてこられた南雲先生ならではの講座。筆者も多くのお客様と共に、「シューマンの音楽と人生を巡る旅」を堪能して参りました。

 第一回の今回は「ヴィルトゥオーゾピアニストを夢見ていた青年期」。シューマンの青年期の葛藤や初々しい感情が南雲先生の美しいピアノと解説、豊富なエピソードを交えて生き生きと蘇りました。とりわけ筆者にとって印象的であった場面を想い出しながら、以下にその一部を記してみたいと思います。

 何と言っても素晴らしかったのは、ロ短調のアレグロOp.8の南雲先生の瑞々しい演奏。もともとソナタの冒頭楽章として構想されたもののようですが、後年の楽想からは想像できない驚くほど純粋で晴朗な音楽。南雲先生をして「このまま行っていればどうなったか」と言わせしめるほどの音楽的な純真さと共に完成度のとても高い作品でした。

 そして、お話においてはこのアレグロ及び後半で採り上げられたダヴィット同盟舞曲集に共通する「シューマンのある変わった特徴」について大変興味深く伺うことができました。たとえば、先のアレグロは当時の恋人であったエルネスティーネに捧げられていますが、実際にはこの作品は当時まだ恋愛関係にはなかった後の妻であるクララと関係が深い作品であったようです。逆に後者の第11曲と第13曲にはその恋人であったエルネスティーネの故郷の名であるAschをAs-C-Hと音名に読み換えてモチーフが構成され極めて情熱的な展開を見せているにも関わらず、この作品はいずれも彼女とは別の人物に捧げられているということ。シューマンの一筋縄ではいかない性格の一面とそれぞれの曲に込められた情熱的な意図が合わせて紹介されました。

 他にも素晴らしい演奏やお話が盛りだくさんで会場もすっかり「南雲先生が奏で、語るシューマンの世界」に引き込まれていたようでしたが、紙面の都合上、ほんのわずかなご紹介となってしまったことをお許しください。

 今回は、若きシューマンが直面していた様々な現実――「ピアニストへの憧れ」や情熱的な恋愛、師弟の葛藤――の中からどのように「青年シューマンの音楽」が育まれていったのかを肌身に感じることが出来ました。また、南雲先生ご自身の「シューマンの音楽との出逢い」も時折織り交ぜられ、シューマンの音楽と人生がとても親しみ易く身近に感じられました。次回は、いよいよシューマンと文学の関わりがより本格的に掘り下げられ、最終回における結婚に至るまでのクララとの関係、そして終焉へと続いて行きます。どうぞお聴き逃しなく。

(G,T)

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