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音楽雑誌でお馴染の
岸 純信 オペラ講座(全3回)開催レポート
〜ヴェルディ生誕200年〜
2013年6月8日(土) 〜9月14日(土)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
第2回 2013年7月27日(土)10:30〜12:00
ヴェルディの「猛烈で巨大な音作り」〜《アイーダ》を中心に
*古代エジプトという幻想的な世界を「音の想像力」で作り上げたオペラ。行ったことはなくても、
何とか「エジプト風」の要素を盛り込みたいと頑張ったヴェルディの奮闘ぶりに注目!
7月27日パウゼにて、オペラ研究家岸純信先生によるオペラ講座が開催されました。今年はヴェルディ生誕200周年にあたることもあり、全3回にわたりヴェルディのオペラの魅力をご紹介下さいます。第2回目となる本日は、≪アイーダ≫について映像を交えながら大変興味深い解説をしてくださいました。この日、会場は非常にたくさんのお客様で埋め尽くされ、皆様は時折配布資料を眺めながら先生の丁寧なレクチャーに熱心に耳を傾けておられました。≪アイーダ≫は、エジプトの副王がスエズ運河の開通に合わせカイロ劇場を建設し、その_落としとしてヴェルディに新作のオペラを依頼したことで作曲され、1871年に初演されました。この≪アイーダ≫には、「古代エジプトらしさ」と「祝祭的な雰囲気」を出すためにあらゆる工夫が施されています。「古代エジプトらしさ」について、ヴェルディはエジプトに行ったことがないとのことですが、そのことを感じさせないほどエジプトらしい雰囲気が醸し出されていることに驚きました。先生は、古代エジプトの壁画に描かれていたトランペット風の楽器からアイーダ・トランペットが作られたことや、エキゾチックなメロディを求めて中近東に由来する旋律が用いられていることなどをご紹介してくださいました。また、このオペラはイタリア語の台本に基づいたイタリア・オペラですが、「祝祭的な雰囲気」を表現するため、独立したバレエの場面や、違う立場の合唱が同時に歌うダブル・コーラスなどといったフランス・オペラの要素が随所にちりばめられていることも説明してくださいました。
先生は、≪アイーダ≫は「従来の日本人にとって非常に理解しやすいオペラ」と述べられていたことも印象的でした。例えば、エジプトとの戦争に負け、女奴隷となったエチオピアの王女アイーダが自分の心よりも奴隷としての立場を守り抜くなど、登場人物それぞれが奴隷、武将、王女などといった「自分の立場」を貫いており、このような社会的に虐げられる人々を真正面から取り上げていることや、社会の枷の重みに耐えながらも最後まで生きる希望を捨てないこと、社会の義務と個人的な感情の間で苦しむ場面が見どころであることなどを挙げられていました。物語に真実味があるために、宝塚やブロードウェイミュージカルなどで、あらすじをそのまま用い別のジャンルの作品にされることが多いとのことです。
華やかさと人間の奥深いドラマを併せ持つオペラ≪アイーダ≫世界に誘ってくださった岸先生のレクチャーは、大変濃密で実際にオペラを鑑賞したかのような臨場感があり時間を忘れるほどでした。次回はいよいよ最終回、≪仮面舞踏会≫をテーマに9月14日(土)に開催されます。
(K.S)
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