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宮里 倫史 ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサートVol.52 》
2021年
2月24日(水) 17:50開場 18:30開演(19:45終演予定) → 17:30開場 18:00開演
※感染症拡大防止のため、公演時間を短縮して開催いたします。
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 東京音楽大学 表参道 サロンコンサートVol.52の本日のピアノリサイタルは、現在大学院2年生の宮里倫史さんが登場されました。なかなか聴く機会の無い楽曲もプログラムに含まれていましたが、宮里さん自ら執筆された丁寧な楽曲解説とともに、大変充実した内容となっていました。

 宮里さんの演奏は、楽器を最大限に鳴り響かせた迫力が印象的でした。最初に演奏されたシューマンの情熱的なピアノ・ソナタ第2番では、その量質ともに豊かなピアノの音色を、精一杯に聴かせていらっしゃいました。次に演奏された《ゴイェスカス》は、近年その魅力が改めて認知されつつある近代スペインの作曲家グラナドスによるもので、ゴヤの絵画にインスピレーションを得た作品であることが特徴的です。宮里さんがプログラムに選んだ〈愛の死〉は、その中でもとりわけ物語性に富んでおり、ドイツ・ロマン主義の劇的な音楽を彷彿とさせながらも、グラナドス自身の独特なハーモニーを有しています。宮里さんは楽曲中のモティーフの1つ1つを丁寧に際立たせながら、〈愛の死〉の物語を描いていらっしゃいました。

 後半はドイツ・ロマン主義の幕開けを飾ったとも言えるシューベルトの、最晩年に書かれたピアノ・ソナタ第19番です。シューベルトは、即興曲をはじめとする自らが先駆者となるようなジャンルを次々と開拓した一方で、敬愛するベートーヴェンが一大芸術ジャンルへと押し上げたピアノ・ソナタにおいても、魅力溢れる作品を残しました。宮里さんは持ち前の迫力ある音色と、丹念な音楽創りによって、この時代の狭間にあったピアノ・ソナタを堅実にまとめていらっしゃいました。

 アンコールはチェコの近代を代表するヤナーチェク作曲《草かげの小径》より〈おやすみ〉でした。グラナドスに加えて独特の民族色をある楽曲の登場に、お客様も大変興味深い様子で耳を傾けていらっしゃいました。最後の最後まで宮里さんの音楽の世界を堪能した、素晴らしいコンサートでした。

(A.T.)

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