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日本ショパン協会 第279回例会
佐原 光 ピアノリサイタル 開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.33》
2017年10月25日(水) 開場18:00 開演18:30
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 本日は日本ショパン協会のイベントの一環として、現在大学院に在籍しながら既に国内外のコンクールで実績を積んでいる若手ピアニスト、佐原光さんのピアノリサイタルが開催されました。プログラムもやはりショパンの名曲がずらりと並んでおり、ショパンの音楽を愛する方にとっては聴き逃すことの出来ないものでした。

 佐原さんの演奏は群を抜いた安定感と落ち着いた雰囲気が特徴で、聴いていた方もゆったりとショパンの世界に浸れたのではないかと思います。最初に《夜想曲》ハ短調を、情熱的にしかし気品に満ちた様相で演奏した次には、ヘ短調の《幻想曲》。この作品は静かでメランコリックな旋律に始まり、後半へ向かうごとに技術的に難しい部分も増え、かなりの集中力と音楽性を要する曲です。しかしながら佐原さんは1つ1つの音楽要素を丁寧に創り込み、多くの音が重なり合う箇所でも音が立体的に聞こえるよう工夫していらっしゃり、見事にこの作品をまとめていました。そして前半最後のプログラムは《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》。タイトルの通り「アンダンテ」の部分と「大ポロネーズ」の部分のコントラストが聴きどころの作品です。佐原さんはアンダンテ部分を非常に美しく奏でた後、持前の安定感で大ポロネーズの部分を華やかに且つ気品ある演奏に仕上げており、会場は早くも大きな拍手に包まれました。

 

 後半は、短くあまり知られていないものの、ショパンの繊細な音楽が窺える《3つのエコセーズ》に始まり、華やかな装飾が美しい嬰へ長調の《舟歌》。佐原さんの安定した演奏は後半も変わることは無く、この曲も細やかな音を大切にしつつ後半のクライマックスでは重厚な音色を出していました。そして本日の一番大きなプログラムとなったのが、最後に演奏された《ソナタ》第2番全楽章。第1楽章は伴奏の一風変わったリズムに旋律が浮かび、第2楽章は緊張感のあるスケルッツォとその間に挿入された美しい中間部、第3楽章は重々しい葬送行進曲、そして第4楽章はあっという間に過ぎ去ってしまう無窮動と、色々な音楽要素が集まった大作です。佐原さんの演奏は各楽章の音楽的要素をよく捉え、複雑なリズムの部分でも決して乱れることなく音楽が進む、大変見事なものでした。会場ではしばらく拍手が鳴りやまず、アンコールとして2曲のマズルカが加わり、最後の最後までショパンの音楽を楽しめた演奏会となりました。

 (A.T.)

 

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