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EXCITING ENSEMBLE 第8回
〜若手音楽家育成応援プロジェクト 第8回〜 開催レポート
音楽監督/金木 博幸 (東京フィルハーモニー交響楽団首席チェリスト)
出演:金木 博幸(音楽監督・チェロ)、漆原 啓子(ゲスト・ヴァイオリン)、 西尾真実(ピアノ)、今田篤(ピアノ)
2017年
7月5日(水) 19:00開演 18:30開場
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 第一線で活躍する音楽家と室内楽の共演ができる、若手音楽家のための育成応援プロジェクト、「EXCITING ENSEMBLE」の第8回目。今回も同プロジェクトの音楽監督でチェリストの 金木博幸さんと、ゲストにヴァイオリニストの漆原啓子さんという豪華な顔ぶれで開催されました。

 チャレンジする若手音楽家は、ピアニストの西尾真実さんと今田篤さん。国内外で研鑽を積まれ、様々なコンクールで優秀な成績を収めている、つい最近まで学生さんだったフレッシュなお二人です。

ソロ・ピアノの経験はたくさん積まれていますが、本格的な室内楽はまさにこれから。室内楽の本番のステージを数多くこなしてきたトップ・プロと、この貴重なチャンスにどのようなアンサンブルを奏でるのか、注目が集まります。

 今回のプログラム全4曲は、金木博幸さんによると、いずれの曲も重い曲で、リサイタルの大トリとなるような大きな曲であるとのこと。演奏家も集中力&体力勝負。今宵も長い夜となりそうです。

 前半はチェロ・ソナタが2曲。金木さんのチェロに、若い二人が1曲ずつ、ピアノで共演します。冒頭はブラームスの「チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調 Op.99」で、ピアノは今田篤さん。人生初のチェ ロ・ソナタなのだそうです。勇壮でロマンティックな第1楽章、意味深な第2楽章、熱い心が炸裂する第3楽章、朗らかで軽やかな第4楽章。朗々と歌い上げるチェロに対して、ピアノがどのように渡り合うか。聴き所が満載です。

 2曲目はラフマニノフの「チェロ・ソナタ ト短調 Op.19」。ピアノは西尾真実さんです。大らかなチェロとピアノのアンサンブルが美しい第1楽章、躍動感溢れる第2楽章、寂しげで心に染み入る第3楽章、生き生きと輝く第4楽章。1小節1小節が貴重な経験になっているということが、音楽を聴いている側にも伝わってきます。

 後半はピアノ三重奏曲を2曲。前半の形態に、漆原啓子さんのヴァイオリンが加わります。まずはブラームスの「ピアノ三重奏曲第1番 ロ長調 Op.8」で、ピアノは今田篤さん。重厚で力強い第1 楽章、緊張感が持続する第2楽章、静かに力強い第3楽章、哀愁の第4楽章。ピアノと弦楽器が楽器の構造の違いを乗り越えて、間合いと呼吸をいかに合わせるか。丁々発止としたやり取りも、迫力満点です。

 最後の曲はショスタコーヴィチの「ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 Op.67」で、ピアノは西尾真実さん。チェロが高音域で歌い続けるという大変な出だしの第1楽章、攻撃的かつ能天気な第2楽章、沈鬱な第3楽章、狂気とユーモアの混ざった第4楽章。すさまじくユニークな名作ですね。三人の演奏家が互いの音楽を生かし合い、徹底的に主張し合う。このバランス感覚は、回を重ねるごとに磨き上げられていくのだと感じました。

 ふと時計を見れば、9時40分。7時に始まったのですが、予告どおり見事な長さでした。この素晴らしいプロジェクト、次回は2018年1月17日(水)です。

(H.A.)

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