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川崎翔子 ピアノリサイタル 開催レポート
ヤクブ チズマロヴィチ氏をゲストに
2016年9月23日(金) 開場18:30 開演19:00
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 本日は、国内外でご活躍のピアニスト川崎翔子さんによるリサイタルでした。ゲストにはスロバキア出身のピアニストヤクブ・チズマロヴィチさんが加わり、演目もソロと2台ピアノ、バロック時代から20世紀ものまでと、非常に豪華なコンサートでした。

 まずは川崎さんによるスカルラッティのロ短調のソナタ、リストのバラード、ラヴェルの《鏡》より第2曲と第4曲の演奏。スカルラッティはイタリアやスペインで活躍したバロック時代の作曲家、リストは19世紀のドイツを凌駕した超絶技巧ピアニスト、ラヴェルは近代フランスの風雅と異国情緒にあふれた音楽家と、三種三様の演目ですが、川崎さんは卓越した技術と表現力で、各々の曲に合った音を奏でていらっしゃいました。とりわけ、《鏡》の第2曲<悲しき鳥>は技巧的なパッセージの中にも繊細さがあり、素晴らしいものでした。

 前半の最後にいよいよゲストのチズマロヴィチ氏が登場。2台ピアノによる尾高忠明「みだれ」の演奏でした。チズマロヴィチ氏の音もまた迫力と表現力に長けており、お2人揃うと一段と音楽が広がったように思います。客席の皆さまも、重厚な2台ピアノの響きの中でどこか懐かしい日本的なモティーフやリズムが立ち現れる「みだれ」の音楽を、とても楽しんでいたようでした。

 後半は川崎さんのプロコフィエフ《束の間の幻影》(抜粋)から始まりました。博士論文はリゲティを取り上げるなど、現代音楽にも造詣の深い川崎さん。独特の響きが多い20世紀の代表的作曲家プロコフィエフのこの演目でも、非常にセンスの光る演奏をしてくださいました。次にチズマロヴィチ氏の独奏で、演目はリスト編曲による《タンホイザー》序曲。ワーグナーの非常に層の厚いオーケストラを、リストがその卓越したピアノ技術によって楽器1台で演奏できるようにしたという難曲ですが、チズマロヴィチ氏は一つ一つのパッセージを立体的に重ね、見事に弾きこなしていらっしゃいました。1台のピアノとは思えない演奏に客席からも感嘆の声がありました。

 最後はまた川崎さんとチズマロヴィチ氏お2人揃ってのリスト《2台ピアノのための悲愴協奏曲》でした。リストが独奏曲から2台ピアノへと改良を重ねた末に完成させたという作品を前に、お2人の演奏にも一段と熱がこもっていたように感じます。終演の際にはお2人の技術と情熱に、客席から大きな拍手が贈られ、非常に素晴らしいコンサートとなりました。

(A. T.)

  

駐日スロバキア共和国大使 ミハル・コットマン閣下と

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