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NPO日本ヴェルディ協会 ― 若手歌手支援企画 ―
ヴェルディの夕べ 開催レポート 
2014年
5月15日(木) 19:00 開演 (18:30 開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 本日の演奏会は、日本ヴェルディ協会が若手音楽家の支援を目的に組んだオール・ヴェルディ・プログラムでした。「若手の支援」とは言え、出演されているのは皆有名音楽大学を秀でた成績で卒業し、国内外でさらなる高みに挑む、将来が期待される方ばかり。よって、プログラムもヴェルディの初期のオペラから生涯最後の作品まで、皆が一声聴けばわかる名旋律から珍しい楽曲まで、大変幅広いものでした。

 最初にご登場されたのはソプラノの砂田愛梨さん。ヴェルディのソプラノ曲の中でも人気が高いジルダの<慕わしき名>(《リゴレット》より)を歌い、艶やかな声で会場を湧かせました。続けてご登場されたテノールの金山京介さんは、3拍子のリズムが快い<私の歓びを>(《十字軍のロンバルディア》より)を朗らかに歌い上げました。

 次の2曲は同じオペラ《イル・トロヴァトーレ》の中でも、対照的な2人の女性の歌でした。復讐心を燃やすアズチェーナのアリア<炎は燃えて>を歌ったのはメゾ・ソプラノの成田伊美さん。ミステリアスな雰囲気がとても素敵でした。そして復讐劇に巻き込まれながらも恋人への愛を貫くレオノーラのアリア<恋は薔薇色の翼に乗って>を歌われたのは、ソプラノの中村洋美さん。力強く芯のある声が会場に響き渡りました。

 そして今度は連続して低声の演目です。ヴェルディの最初のオペラ《オベルト》から<裏切りの恐ろしさが>を歌ったのはバス・バリトンの田中大揮さん。胸の内からほとばしるような情熱的な歌唱でした。ヴェルディの最後のオペラ《ファルスタッフ》から<夢か?まことか?>を歌ったのはバリトンの池内響さん。妻に裏切られたと驚き憤る場面の様子が浮かんでくるような熱唱でした。

 前半最後となったのは、先ほどの《リゴレット》からおそらく音楽の好きな方なら誰しもお馴染みのアリア<女心の唄>と、日本でも大変人気のある《椿姫》からヒロインであるヴィオレッタの名アリア<ああ、そはかの人か〜花から花へ>でした。<女心の唄>を歌われたテノールの宮里直樹さんは、軽やかさと迫力を併せ持った声で、この名曲を歌い上げていらっしゃいました。そして、ヴィオレッタに扮したソプラノの首藤玲奈さんは、表情豊かな歌唱でヴィオレッタの動揺する心を表現していらっしゃいました。

 後半は司会としてプログラムの解説を行い、演奏会をリードしてこられたバリトンの井上雅人さんも交えて、重唱を中心としたプログラムになりました。まずはヴェルディのオペラ《椿姫》より<乾杯の歌>。アルフレード役とヴィオレッタ役をそれぞれ演じました金山さん、中村さんを中心に、出演者全員が合唱で加わり、華やかな場面となりました。続くはヴェルディ作品の中でも日本ではやや稀な《シモン・ボッカネグラ》。ヴェルディにとって父と娘というのは重要な表現対象だったようで、他の作品からもそのことが伺えますが、今回はこの《シモン・ボッカネグラ》の主人公シモンと娘アメーリアの数奇な運命を描いた二重唱<娘よ、その名を呼ぶだけで胸が躍る>を、井上さんと首藤さんが美しく歌われました。続いては田中さんと井上さんによるバスとバリトンの重唱<私は神の御前で涙を流す>。オペラの曲としては珍しい低声同士のアンサンブルで、このオペラの最後の見せ場を熱演されました。最後の演目となったのは、ヴェルディの重唱の中でも相反する心境を一度に表現した傑作だと言われる《リゴレット》第3幕の四重唱<美しい恋の乙女よ>。ここでは甘い言葉で女性を口説くマントヴァ公爵、それをあしらいつつもおびき寄せてゆく殺し屋の妹マッダレーナ、公爵に裏切られたと嘆くジルダ、娘を侮辱されたと復讐を誓うリゴレットが各々の気持ちを歌うものですが、マントヴァ公爵を演じた宮里さんの圧巻の高音にリードされながら、マッダレーナ役の成田さん、ジルダ役の砂田さん、リゴレット役の池内さんも各々のキャラクターを際立てていらっしゃいました。

 アンコールでは客席全員に楽譜が配られ、イタリア第2の国歌とも呼ばれるオペラ《ナブッコ》より<行け想いよ、黄金の翼にのって>が歌われました。ヴェルディ好きにはたまらない、素敵な一夜となりました。

(A. T. )

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