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ピアノミュージック・タイムトラベル to 1913(全2夜)

東京藝大若手教員陣による近代ピアノ音楽の祭典

2013年10月28日(月)18:15開場 18:30プレトーク 19:00開演 

第一夜 ロシアの夕べ 開催レポート

会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

演奏/東京藝術大学ピアノ科教員
・ 齋藤 龍 ・ 佐々木 崇 ・ 佐野隆哉 ・ 竹内真紀 ・ 安田里沙
レクチャー講師/吉田玲子(音楽学者)

吉田玲子

竹内真紀

佐野隆哉

安田里沙

齋藤 龍

佐々木 崇

 10月28日(月)、表参道「パウゼ」での催し物は、〈ピアノミュージック・タイムタイムトラベル to 2013 〜東京藝大若手教員陣による近代ピアノ音楽の祭典〜〉「第一夜 ロシアの夕べ」でした。第一夜の本日は、竹内真紀さん、佐野隆哉さん、安田里沙さん、斎藤龍さん、佐々木崇さんの5人のピアニストが出演されました。明日は「第二夜 フランスの夕べ」が開催予定です。ロシア(第一夜)とフランス(第二夜)。これら2つの国にはどのような関係性があるのでしょうか。

 開演前に行われた音楽学者の吉田玲子さんによるプレ・トークの中で、ロシアとフランスを結んだキーパーソンについてのお話がありました。その人物こそ、セルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)です。展覧会や演奏会の総合プロデューサーだったディアギレフは、ロシアの文学やバレエを体系的にヨーロッパ(特にフランス)に紹介しました。このことによって、19世紀後半まで続いたヨーロッパからロシアへという一方通行の状況が解消され、ヨーロッパからロシアへ、ロシアからヨーロッパ(フランス)へという両者の関係が始まったそうです。

 さて、今日の演奏会は4人の作曲家の作品によってプログラミングされていました。まずはスクリャービン(1872-1915)。曲目は《2つの前奏曲》op. 67(斎藤さん)、《ピアノ・ソナタ 第9番》op. 68「黒ミサ」(竹内さん)、《2つの詩曲》op. 69(佐々木さん)、《ピアノ・ソナタ 第10番》op. 70(竹内さん)でした。スクリャービン最大の特徴ともいえる神秘和音。この和音の音響効果に大きく関係しているのでしょうか、お三方の演奏からは共通して、現実世界からの超越、哲学的な難解さ、宇宙といった言葉を連想しました。

 スクリャービンに続いて、次はラフマニノフ(1873-1943)でした。20世紀音楽が調性の崩壊、無調音楽へと向かう中、ラフマニノフの音楽からは調性が感じられ、ロマン的な叙情性に満ち溢れています。ラフマニノフ《ピアノ・ソナタ 第2番》op. 36(1931年版)を演奏して下さった佐野さん。急緩のコントラストが巧みで構築力があり、ラフマニノフの魂、そして佐野さんの魂が伝わってくる迫真の演奏でした。

 後半は安田さんによるシベリウス(1865-1957)の演奏で始まりました。演奏して下さったのは、《憧れに》、《スペイン風に》、《10のバガテル》op. 34です。シベリウスの代表作品としては、交響曲や交響詩、ヴァイオリン協奏曲などが思い当たりますが、小品ごとのキャラクターを鮮明に描き出していた安田さんの演奏を聴いたことをきっかけに、シベリウスのピアノ小品や歌曲への興味が一気に増しました。

 本日の締めくくりは、斎藤さんと佐々木さんによるストラヴィンスキー《春の祭典》(連弾)。この曲の初演が西洋音楽史上センセーショナルな出来事だったということはよく知られていますが、現代の耳で聴いても、リズムや和声など非常に強烈です。お2人の演奏は複雑なリズムでも、拍子が次から次へと変化しても、ぴたりと息が合い、この曲の原始的な躍動感を見事に表現。幾度となく、その迫力に圧倒されました。

(A・H)

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