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カワイ音楽振興会 創立50周年記念コンサート Vol.1 開催レポート
会 場：カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ
4月23日（火）第1回 12：00 開演 11：30開場 出演： 桑原 志織
今日のパウゼでは「カワイ音楽振興会創立５０周年記念コンサートVol.1」が開催されました。新進気鋭の若手ピアニスト９名の多彩なプログラムによって構成された三日間に渡るメモリアルコンサート。第一回はすでに数々のコンクールやコンサートで活躍されており東京芸大付属高校に在学中の現役高校生でもある桑原志織さんによるショパン、リスト、ラフマニノフです。
まず冒頭、黒のドレスで登場された桑原さんが演奏されたのはショパンのエチュード作品１０−１ハ長調です。技巧的に大変華やかで映える作品ですが、桑原さんの磨き抜かれた明瞭なタッチによって演奏されると一つ一つの音がまるで宝石のように輝き始めます。また続くエチュード作品２５−５ホ短調においては、その優雅なタッチから時折覗かせるショパン特有のメランコリーがとても甘美で印象的でした。
さらにリストのスペイン狂詩曲においては、一転して多彩で風通しのよい華やかな音楽が聴かれました。目の覚めるような快活なパッセージや繊細なアルペジオ、低音から奏でられるラ・フォリアのテーマもほどよくスパイスが効いたセンスを感じさせるもので徐々に繰り広げられるリスト特有の多彩な名人芸は本当に圧巻でした。
コンサートの締めくくりはラフマニノフのピアノソナタ第２番変ロ短調作品３６（１９３１年版）。桑原さんの豊かな音楽性とテクニックによって聴くとこの名作のオリジナリティーが明瞭に浮かび上がります。一瞬の沈黙と緊張の後、あたかも一条の閃光のようにこのソナタの衝撃的なテーマが放たれ、それが半音階的に処理されつつ立体的に展開されて行く様子がとても鮮明かつ壮麗に描き出されていました。
会場から贈られる鳴り止まない拍手に応えたアンコールは同じくラフマニノフのエチュード「音の絵」作品３９より第一番ハ短調。カワイ音楽振興会の半世紀の歩みを祝うに相応しい大変華やかな演奏会でした。
（G.T.）
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