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上原由記音 公開講座
スペイン ピアノ作品 レクチャーコンサート 開催レポート
作曲家 フェデリコ・モンポウの魅力(全2回)
2013年
4月16日(火) 10:30〜12:30
第1回 〜モンポウの生涯と「内なる印象」について〜
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

  

 今年生誕120年を迎えるスペインの作曲家、フェデリコ・モンポウ。本講座では、スペイン音楽のスペシャリストでいらっしゃるピアニストの上原由記音先生をお迎えし、2回にわたってその珠玉のピアノ音楽をご紹介いただきます。モンポウは近年再評価の進んでいる作曲家の一人ですが、彼の作品をまとまった形で耳にする機会はまだそれほど多いとはいえません。講座第1回のこの日はちょうどモンポウの誕生日。作曲家についての知識を深めつつ、その音楽の魅力に改めて目を向ける、格好の機会となりました

 講座の前半は、モンポウの生涯や人物像、音楽語法の特徴等についてのお話にあてられました。スペイン北部のバルセロナに生まれ、とある演奏会でフォーレの室内楽曲を聴いたことをきっかけに作曲を志すことになったというモンポウ。研ぎ澄まされた数少ない音で、「私小説のように」(上原先生)心の内を吐露するようなその作風は、同じ「スペイン」でも、アルベニスやファリャといった作曲家のそれとはかなり印象を異にするものです。モンポウの音楽では、美しく耳に心地よいメロディの奥に、北部の人間特有の内面の強さがあるのだ、と上原先生はお話しになっていました。

 後半では、曲目解説を交えながら、モンポウのピアノ曲を上原先生が実際に演奏してくださいました。当初予定されていた《内なる印象》に加え、《子供の情景》、《魔法の歌》、《ショパンの主題による変奏曲》といった異なるタイプの作品も実演でご紹介くださったのは、嬉しい驚きでした。実は上原先生は、スペイン在留中に、モンポウの妻であったピアニスト、故カルメン・ブラーボ氏から直々にモンポウ作品のレッスンを受けておられたとのこと。カルメン氏の心温まる思い出に加え、楽譜には書かれていない、演奏上の貴重な伝承を口頭や板書で示してくださったのがとても印象的でした。

 次回9月11日の講座では、モンポウの代表作《歌と踊り》が取り上げられる予定とのこと。こちらも大変楽しみです。

(N.J.)

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