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大矢素子オンド・マルトノリサイタル 開催レポート
〜 オンド・マルトノ ルネサンス 2 〜
《東京藝術大学同声会コンサートシリーズ Vol.16》
2012年
11月20日(火) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 

 みなさまは「オンド・マルトノ」という楽器をご存じでしょうか。本日表参道“パウゼ”では、この楽器のためのコンサートが催されました。オンド・マルトノを演奏して下さったのは大矢素子さん、ピアノは松本望さんでした。

 大矢さん自身のプログラム・ノートやお話によれば、オンド・マルトノとは1928年に、フランス人チェリストであり無線技士でもあったモリス・マルトノによって考案された電子楽器です。鍵盤を備えた本体のほか、弦を張ったスピーカー(蓮の花びらの形)、銅鑼を内蔵したスピーカーなどの各種スピーカー群により、多彩な音響を生み出すことができます。奏法は2種類あり、鍵盤を左右に揺らして、あるいは鍵盤の手前についているワイヤー(リボン)を滑らすことで音を奏でます。これらの奏法によって生み出される“揺れ動く音・不安定な音”、そして特殊なスピーカーによる“残響”の多い音響効果こそが、オンド・マルトノの魅力の1つだと大矢さんはおっしゃっていました。

 さて、大矢さんが本日演奏して下さった5曲は、オンド・マルトノの主要レパートリーとのこと。特に筆者の印象に残ったのは、ジョリヴェ《オンド・マルトノ協奏曲》でした。音色の変化によるオーケストレーションや、音色・奏法の瞬時の交換、多様なアーティキュレーションなど、作曲者が楽器のさらなる可能性を模索した様子が窺えます。オンド・マルトノは同時に単音しか発することができませんが、その1音1音に大矢さんの感情が注ぎ込まれ、目の離せない情熱的な演奏でした。

 松平頼暁《コンストラクション―大矢素子さんのために》では、手拍子、人の声による効果音、言葉などが音の間に盛り込まれ、楽しいと同時に驚きの多い曲でした。自分のために作品を書いていただけるとはなんとも嬉しいですね。作曲者の松平さんも本日の演奏会に臨席し、大矢さんに大きな拍手を送っていらっしゃいました。クロード・アリウ《ファンタジー・リリック》とミュライユ《ガラスの虎》はいずれも1974年の作品ですが、作風が180度異なっており、その違いがそれぞれの作品の良さを引き立て合っていたように思います。

 アンコールには大矢さんの恩師であり、日本のオンドマルトノの第一人者である原田節さんの《オリーヴの雨》より〈灰色の微風(かぜ)〉を演奏して下さいました。大矢さんは演奏を通してオンド・マルトノの魅力を私たちに伝えて下さり、演奏会後にはすっかりオンド・マルトノの虜になってしまいました。

                                  (A・H)

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