トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース)> コンサート情報 > 2012年-2013年 > 久元祐子 ピアノ演奏法講座 > 第4回 開催レポート

KMAP
久元祐子 ピアノ演奏法講座
『続々々・一歩上を目指すピアノ演奏法』(全5回シリーズ)

会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
第4回 2013年2月13日(水)10:30〜12:30
バッハ「アンナ・マクダレーナのための音楽帳」から 開催レポート

 

 

 今朝のパウゼではピアニストの久元祐子先生をお迎えして『続々々・一歩上を目指すピアノ演奏法』が開催されました。御馴染みの大好評シリーズ第四回の今日のテーマはバッハ「アンナ・マクダレーナのための音楽帳」。筆者も幼い頃これによってピアノを学んだ想い出の小品集ですが、久元先生の素晴らしい演奏と奥深い解説によってこの珠玉の小品集の価値を再認識させられました。

 まず、久元先生が最初に強調されていたことは「楽曲のスタイルを理解し、楽譜からその意味を読み取る習慣を身に着けることが学習上如何に大切であるか」ということでした。久元先生によれば「山を楽しむためには山を知る必要がある」ように、音楽もまたそれぞれの時代のスタイルを理解してそれに相応しい解釈を施さなければそもそも「正しい」演奏というものは成り立ちません。特にバロック時代の譜面には作曲者による細かな指定がなされていないため、解釈や譜読みの格好の教材となることでしょう。

 それでは、正しい様式感を身に着け的確に楽譜を読むことができるようになるためにはどのようなことに留意する必要があるのでしょうか。以下は久元先生のお話のポイントになります。

・アーティキュレーションのつけ方においては、まずフレーズの意味を中心に考えることが重要であること。ワンフレーズの区切りをどう設定するかで意味はまるで違ったものになり、またとりわけバロック様式においては同じ音型の繰り返しは原則同じアーティキュレーションを施す必要があること。

・「どこまで一息で歌えるのか」という観点から具体的なテンポ設定を行う必要があること。

・調性感や和声感に即した表現を心がける必要があること。(音楽は言語よりもより抽象的な表現媒体であるため「悲しみ」を嬉々として表現するといった過誤が生じやすい。)

・指使いは出来る限り動かずに済む運指を選ぶ習慣を身に着けること。とりわけバロック特有の「優雅さ」を表現するためにはこの点が重要。

・前打音、トリルはバロック様式においては原則拍の頭に合わせる。

 他にも重要なご教示が時にユーモアを交えながら示されましたが紙面の都合上、すべてをご紹介することができないのが残念です。

 久元先生のレクチャーから今回特に学ばせて頂いたことは、「正確に演奏する」ということがどのようなことであるか、また演奏者の自由とはそもそもどこに存するのか、ということでした。演奏者は確かに譜面から正確な演奏を心掛ける必要があるのであり徹底した訓練を積む必要があるわけですが、だからといってただ杓子定規にルールを守ることだけを念頭に置いていたのでは音楽に対する理解も愛情も育まれるはずがありません。音楽にそもそも意味があるからこそ、演奏者はそれを解釈しなければならないのでありそこに演奏者の自由と喜びがある、ということでした。

 最終回の次回は3月6日(水)、テーマはバッハのインヴェンションです。是非ふるってご参加ください。

(G.T.)

 ホーム(ニュース)> コンサート情報 > 2012年-2013年 > 久元祐子 ピアノ演奏法講座 > 第4回 開催レポート