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ピアニスト 松本和将の
「楽曲毎に見るペダル使用法」公開講座(全5回シリーズ)第5回 開催レポート
2012年10月11日(木) 10:30〜12:30
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 一流演奏家による素晴らしい演奏と濃密な解説で毎回好評を博している“ピアニスト松本和将の「楽曲毎に見るペダル使用法」公開講座”もついに最終回の第五回を迎えました。今回のテーマは「ロシア音楽」。最終回に相応しい壮大なスケールの講座となりました。

 ロシア音楽というとチャイコフスキーのピアノコンチェルトの冒頭のような非常に雄大な音楽をイメージしますが、松本先生にとっても所謂「ロシア的」というのはラフマニノフやチャイコフスキーによって代表される壮大な音楽のことで、逆にこのイメージに完全には当てはまらず、一筋縄ではいかないのがスクリャービンだそうです。ペダルテクニックとの関連で言えば、前者は「豊かな響きを連続して創り出すためにハーフペダルの踏み込みの加減や踏み換えの頻度をフレーズに合わせて調節する」という点、後者については「繊細かつ大胆な響きを創り出すためにソフトペダルを効果的に併用する」という点に重点がありました。この点を具体的に解説されるために取り上げられたのが、ラフマニノフのプレリュードOp.23-2及び鐘、スクリャービンのピアノソナタ第二番の一楽章、そして同じくスクリャービンのエチュードOp.8-12です。

 とりわけ、スクリャービンのエチュードはホロヴィッツの実演に即して細かな解説が為されました。ホロヴィッツ特有の巨大な音響を創り出すためにはその前のフレーズの「タメ」が肝心ということで、時にソフトペダルを併用した浅いハーフペダルから一気に踏み込むことであのような音響が可能となる、ということでした。

 他にはチャイコフスキーの四季より舟歌、プロコフィエフのピアノソナタの三番やショスタコーヴィッチの「24のプレリュードとフーガ」の最終曲なども取り上げられました。プロコフィエフは古典的なバランス感覚と先進的な現代性を併せ持った作曲家であり、個々の音をよりブリリアントにブラッシュアップするためのペダリング(残響を適度に響かせるための浅いペダル)が大切であることをお示し下さいました。最後にはスクリャービンの第五番のソナタも取り上げられ、先生の自由自在のぺダリングがそのまま「音の宇宙空間」を作り出していく様は圧巻でした。

 「様々な時代の作曲家の多様なスタイルに合わせた具体的な検討を通して、ペダルの奥深さを知る」ということが全五回に一貫していたテーマであったと思います。「普段あまり意識しないぺダリングを皆様と一緒に振り返ることで自分自身も改めて勉強になりました。コンサートとは違った形で音楽の奥深さを皆様と共有できるこのような企画にまた是非チャレンジしたいと思います。」松本先生のますますのご活躍が、本当に楽しみですね。

(G.T.)

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