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ピアニスト 松本和将の
「楽曲毎に見るペダル使用法」公開講座(全5回シリーズ)第4回 開催レポート
2012年7月13日(金) 10:30〜12:30
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 7月13日(金)、〈ピアニスト松本和将の『楽曲毎に見るペダル使用法』講座〉の第4回に参加してきました。今回のテーマは「フランス音楽を中心とした近現代」で、今日も松本先生から実践的で有益なアドバイスをたくさんいただきました。

 まず、メシアン《幼子イエスに注ぐ20のまなざし》より第20曲〈愛の教会のまなざし〉では、ヨーロッパの鐘の響きを出すペダルを教えて下さいました。皆さんはヨーロッパで複数の鐘が次から次へと鳴り響く、その響きを聞いたことがあるでしょうか。ピアノという楽器で鐘の音を作り出すポイントは、「ペダルマークがあるところでも、完全にペダルを踏み変えない」ことです。音がにごるのではなく、多くの音が響き合い、溶け合うには、ペダルでどれくらい音を残せばよいのか、ピアノによっても異なりますので、ぜひ試してみて下さい。

 教会の鐘に対し、武満徹《雨の樹素描》では日本のお寺の鐘の響きを出すペダルを紹介して下さいました。松本先生の経験から、日本人作曲家が書く不協和音をペダルを使って混ぜ合わせると、お寺の鐘の余韻に似た響きが生み出されるというのです。最初は私も半信半疑でしたが、先生の音を聞いて、お寺の鐘の音をはっきり連想することができました。

 続いて、ドビュッシー《アラベスク》に話は移ります。第1番は冒頭からペダルの扱いが難しく、第1小節3拍目のペダルマークでパッと踏み変えてしまうのではなく、1、2拍目の響きを少し残すのがコツです。その際、フィンガーペダル(手で保って音をのばすテクニック)も用いると、より効果的にビロードのような響きを作り出すことができます。第2番で松本先生は、ペダルを全く使わない/たくさん使う/その中間の場合を試して下さいました。不思議なことに、上の3つのどの場合が正しいということではなく、むしろ3つの表現・解釈が成立するのです。先生のお言葉をお借りすれば、ドビュッシーの場合は「イマジネーション(イメージ)が自分の頭の中にあり、それを実現するために、後からペダルがついてくる」、「自由自在にイマジネーションで操れる」、それがドビュッシーの音楽と言えます。

 何通りかの解釈の可能性があるドビュッシーに対し、ラヴェルの作品を演奏する時には機械のように精密なペダルが必要とされます。例えば、第1小節2拍目裏での踏み変え、第4小節3、4拍目では半拍ごとの踏み変え、第7、8小節の装飾音の扱いなど、ペダルの踏み変えに関して絶妙なタイミングを自身の耳で聞き分けなければなりません。また、左のペダルの指示も多く見られます。まずは左のペダルを使ってみて、徐々に強弱に合わせてゆっくりはなすなど、スピードのテクニックも身に付けてほしいとのことでした。

 いずれにせよ、ペダルを踏む時は、特に自分の出している音をよく聞くことが重要だと実感しました。次回は10月11日(木)。松本先生のペダル講座の最終回となります。ぜひ足をお運び下さい!!

(A・H)

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