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“アンサンブル・ヴァリエ” ジョイントリサイタルVol.8 開催レポート
 〜歌の祭典〜
2011年
10月7日(金) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

  

  

 毎度さまざまな編成によるコンサートで私たちを楽しませてくれる、若手演奏家グループ「アンサンブル・ヴァリエ」。今夜の演奏会は「歌の祭典」と題し、前半にバロック〜近代フランスのヨーロッパの声楽作品、後半に日本歌曲を配した多彩なものです。色とりどりのドレスに身を包んだ4人の歌姫をお迎えし、華やかなステージとなりました。

 トップバッターを務めたのはソプラノの鹿郷寿美さん。透き通ったリリカルな歌声で、苦境にある古代ローマの皇妃オッターヴィアの悲しみを切々と歌いあげます(歌劇《ポッペアの戴冠》より「さらばローマ」)。後半では日本人なら誰もがおなじみの「秋」にまつわる抒情歌を披露、なかでも《小さい秋みつけた》はさりげない中に哀愁をにじませた素晴らしい演奏で、心が洗われるようでした。

 麻生千穂さん(ソプラノ)はヴィヴィッドなピンクの衣装で登場。明るくのびやかな声の持ち主で、和泉聰子さんとのデュエットでは甘く幸福感溢れる雰囲気が伝わってきました。ヘンデルやロッシーニの作品では、コロコロと転がる技巧的なパッセージも難なくこなし、終始素敵な笑顔で歌われていました。

 唯一のメゾソプラノ、水越美和さんは、ドラマティックな歌声と抜群の演技で会場の空気を盛り上げてくださいました。それぞれの歌の主人公になりきり、舞台の上から客席に直接語りかけてくるような表現力――それは、最後のドニゼッティのアリア(歌劇《ファヴォリータ》より「愛しいフェルナンド」)で示されたように、確かな技術に支えられたものでもあるのです。

 お茶目な魅力にあふれるソプラノの和泉聰子さん。お得意のフランス物での洒脱な表現はもちろんのこと、とりわけ印象的だったのは、このアンサンブル・ヴァリエの主宰者・古曽志洋子さんの作曲された、金子みすゞの詩による三つの歌曲です。本日のコンサートで解説と進行役をも務められた古曽志さんの作品は、フランス風の和声に彩られ、豊かなイメージ喚起力やユーモアを含んだ、なんとも粋なものばかり。和泉さんの歌は生き生きと曲のキャラクターを引き出していき、音楽の進行とともに目の前にまざまざと情景が広がるかのようでした。

 そして、忘れてはならないのが、共演ピアニスト中谷路子さんの力です。今回の伴奏を一手に引き受け、一人一人の歌にぴったりと寄り添いながら、感情の彩を描きだしたり、イメージを引き立たせるような背景をつくったり。伴奏だけではなく、第二部の最初では開始ベル代わりに(!)、ギロックの小品をさらりとお洒落に演奏してくださいました。

 企画・構成を手掛けられた古曽志さんのお人柄がよくあらわれた、和やかで楽しい雰囲気のコンサートで、終演後は出演者の方々をまつお客様の列でロビーがいっぱいになりました。これからも、いっそう様々な(ヴァリエ!)場でのメンバーのご活躍を期待しています。

(N.J.)

 

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