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西原 稔 公開講座 開催レポート(2- 全3回シリーズ)
「ブラームスの世界」
2011年9月16日(金) 10:30 講座(10:30〜12:30)
主催:カワイ音楽振興会

会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 桐朋学園大学教授・西原稔先生の公開講座「ブラームスの世界」、第2回のテーマは「変奏曲」です。

 ブラームスにとって、「変奏」とは一体何だったのでしょうか?豊富な作品の分析を通して、西原先生はブラームスの変奏技法、そして作曲家が音符の奥に秘めた「意図」に迫っていきます。2時間という枠内には収まりきらないほど密度の高いお話に時に感嘆の声を上げながら、参加者の方々はペンを片手に聴き入っておられました。

 今回主に取り上げられた作品は、《ハンガリーの主題による変奏曲》、《自作主題による変奏曲》、《シューマンの主題による変奏曲》、そして《ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ》。

 中でも興味深かったのは、ブラームスの恩師であったシューマンの《色とりどりの小品》に基づく、《シューマン変奏曲》の解説です。シューマンの妻クララも同じ主題に基づいて変奏曲を書いていますが、シューマン・クララ・ブラームス、三者の作品を丹念に見比べてみると、彼らの音楽が互いに入り組んだ引用や参照の関係でつながれていることがわかります。西原先生が「ブラームスの青春の思い出」とおっしゃるこの変奏曲では、その音符自体の中に、ブラームスとシューマン夫婦との複雑な関係を読みとることが出来るのです。

 また、25もの変奏とフーガを持つ大作、《ヘンデル変奏曲》の解説では、特定の音程に基づく変奏や、様々な楽器の効果の模倣、ヘンデルへのオマージュとしてのバロック様式、変奏曲の中にある変奏曲など、西原先生は全変奏を幾つかのカテゴリに分類されます。詳細な分析を通して、この長大な作品がすっきりと見通しの良いものになりました。

 耳に留まりやすいソプラノの主旋律ばかりでなく、内側に隠された旋律や、低音部(バス)の動き、さらには音程という一層ミクロな要素に至るまで、主題のあらゆる素材を無駄なく「変奏」し、緊密な作品を練り上げていったブラームス。その作品の緻密な探求を通して見えてくる様々な創作上の工夫や、背景に見え隠れする心模様は、演奏に取り組む上でも大きな手掛かりとなるのではないでしょうか。

 西原先生のブラームス講座は、次回でいよいよ最終回です。後期の魅力的な小品をめぐり、どんなお話をしてくださるのか楽しみですね。

(N.J.)

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