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岡田敦子トーク&ピアノ・シリーズ Vol.3 開催レポート
「 弾く人、楽しんで弾く人のために、とびきり実践的なトーク&ピアノ」
2010年6月25日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 本日で第3回目を迎える岡田敦子先生の「弾く人、楽しんで聴く人のために、とびきり実践的なトーク&ピアノ」シリーズ。今回のテーマは、「音形から読むハイドンとモーツァルト ウィーンに想いを馳せながら」です。会場には多くの方々が駆け付け、このシリーズへの期待の高さがうかがわれます。

 最初は、ロシア音楽の演奏に定評がある岡田先生らしく、ボルトニャンスキーの≪ソナタ≫(1784)が演奏されました。一見ハイドンのような響きがするこの作品は、ロシアで初めて作曲されたピアノソナタであるそうで、ロシア音楽の出発点は西洋の古典派音楽から多大な影響を受けていたことが感じられます。

 続いてレクチャーです。まず、古典派の音楽語法や理念、楽器のことをお話しされた後に、ハイドンとモーツァルトのソナタにおける語法の違いについて説明して下さいました。前者は、強弱の差が激しく、音楽が縦に動いてはっきりとしており、後者は、フレーズの息が大きな弧を描いているように長く、繊細で軽やかであり、自身がイタリア語のオペラを書いていることから、緩徐楽章にイタリア・オペラの歌唱様式を取り入れているとのことです。

 これらのお話の後に、ハイドンの≪ソナタ ハ短調Hob.XVI/20≫とモーツァルトの≪ソナタ 変ロ長調K.570≫を続けて演奏されました。両者の作品を実際に耳にすると、それらの違いが手に取るように感じられます。ハイドンでは、弦楽器のボウイングを思わせるようなフレージングで、ダイナミックでかっちりとした演奏を、モーツァルトでは、全体的に息が長く、コロラトゥーラの歌声を思わせるような演奏でした。両者とも同時代に活躍したにもかかわらず、語法が対照的であったことには、まさに驚きです。

 後半は、鮮やかなグリーンのドレスで登場され、シューベルトの≪ソナタ イ長調 D.959≫(遺作)を演奏されました。ハイドンとモーツァルトの影響がいたるところに表れているただけでなく、シューベルト独特の世界観が感じられる瞑想的で深みのある演奏は、実に素晴らしいものでした。

 鳴りやまない拍手に応えアンコールに、スクリャービンの≪詩曲Op.32-1≫が幻想的に演奏され幕を閉じました。

 今回は、ハイドン、モーツァルト、シューベルトの作品を通して、古典派での語法などが、ロマン派へ受け継がれ発展していく様子を学ぶことができただけでなく、新しい視点が発見でき、目から鱗のひとときでした。

(K.S)

 

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