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ドイツ歌曲の夕べ開催レポート
マーラーとヴォルフ - 1860年生まれの二人、その後
2009年10月8日(木) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 10月8日、台風一過の表参道「パウゼ」で、「ドイツ歌曲の夕べ マーラーとヴォルフ―1860年生まれの二人、その後」と題されたコンサートが開催されました。歌は、ソプラノの古嵜靖子さん、ピアノは大室晃子さん。お二人とも、東京藝術大学で学ばれたのち、ドイツ・シュトゥットゥガルトなどに留学され、現在まで広く世界中で活躍されている方々です。

 はじめは、ヴォルフ≪ゲーテの詩による歌曲≫より<一年中春>、<アナクレオンの墓>を演奏されました。1曲目の<一年中春>から、繊細なピアノ伴奏と、表現豊かな歌声とが見事な対話をなしていて、どんどんお二人の世界へ引き込まれていきました。

 それぞれの歌曲集の間のお話も、このコンサートをより楽しいものにしていたと思います。次のヴォルフ≪イタリア歌曲集≫は、古嵜さんがドイツ歌曲に興味を持つきっかけとなった作品、「十八番」だというお話がありました。それは、まさにその通り、という感じで、歌曲集より9曲が演奏されましたが、どれも恋する女性の様々な面を生き生きと歌い上げていました。たとえば、<あなたはか細い糸一本で私を捕まえて>での、「惚れてますとも、でもあなたにじゃないわよ」という恋の駆け引きなど、様々な声色で歌い分けられていて、とても魅力的な演奏でした。

 前半の最後は、マーラー≪子供の不思議な角笛≫より<天上の生活>。天上の甘くあたたかい世界と、好きなものが食べられる、と食べ物の名前を並べる、やや世俗的な中間部とが、ピアノの表情の変化ともあいまって、とても鮮やかに対比されていたのが、印象的でした。

 後半も、引き続き≪子供の不思議な角笛≫より3曲、<ラインの伝説小ばなし>、<私は青々とした森を楽しく歩いた>、<むだな骨折り>が演奏されました。この3曲は、お二人に縁の深い南ドイツが舞台になっているとのこと。大室さんがピアノを弾きながら、ピアノ伴奏に現われる川の流れやナイチンゲールの鳴き声の描写などを説明してくださったので、より興味深く聴くことができたのではないでしょうか。どれも、言葉の内容をよく伝える演奏で、とりわけ<むだな骨折り>では、少年と少女との微笑ましい対話の“一人二役”を演じた声のコントロールは、見事でした。

 最後は、再びヴォルフの作品≪メーリケの詩による歌曲≫より5曲。ドイツでの生活の長いお二人が、これらの舞台となった地方を紹介してくださり、よりイメージが具体的になったように思います。<ムンメル湖の精霊たち>の、情景を伝えるピアノとともに、この不気味な言い伝えをありありと語るような熱演で、コンサートは閉じられました。

 悪天候にも関わらず、満席となった客席からは大きな拍手が送られ、アンコールに、マーラーの<美しさのために愛するのなら>が演奏されました。最後までじっくりとマーラーとヴォルフのドイツ歌曲の世界を堪能させてくださった、素敵なコンサートでした。(M.)

  ロビーの様子。

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