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KSCO
華麗なる PIANO QUARTET Vol.5 開催レポート
2009年
6月27日(土) 18:00開演(17:30開場)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 梅雨とは思えない暑い1日でしたが、パウゼでも熱いコンサートが開催されました。今回で5回目を数える「華麗なるPiano Quartet」、ソロやオーケストラなどでも活躍する豪華なメンバーによる室内楽を聴きに、多くの聴衆がかけつけました。

 1曲目は、シューベルト《ピアノ四重奏曲 アダージョとロンド》。ゆったりとしたアダージョ部分では、それぞれの楽器が代わる代わる旋律を担当し、美しく歌い上げていました。動きが活発になるロンドでは、ピアノがメインと言ってよいほど。稲田さんの軽やかなピアノに、弦楽器の合いの手が絶妙に絡み合って、シューベルトの明るく親密な音楽が伝わってきました。

 舞台転換が行われている間、ヴァイオリンの高木さんのトークがありました。曲の紹介などを、分かりやすく楽しい口調で説明してくださいました。

 続いて、稲田さんのピアノ・ソロが3曲演奏されました。始めはシューベルト歌曲《どこへ》をラフマニノフがピアノ用に編曲した作品でした。歌の旋律をうまく際立たせつつ、ラフマニノフらしい和声の細かなパッセージが彩っていて、聴きなれた歌曲が非常に新鮮に響きました。その後も、同じくロシア出身のシチュドリーンの《2つの多声的小品》。あまり馴染みのない作曲家ですが、ロシアで現在も活躍中の作曲家だそうです。「2声のインヴェンション」と「バッソ・オスティナート」は共に、バッハを思わせるバロック時代に主に書かれた書法がとられているものの、響きはとても現代的。私は初めて聴きましたが、ストイックな表現と、エネルギッシュな演奏で、ぐいぐい引き込まれていきました。

 休憩後は、再びピアノ四重奏曲。フォーレ《ピアノ四重奏曲第2番 ト短調》という、後期の大作です。苦しみに満ちた第1楽章の主題が、とくにコーダで再び聴かれたときは、さらに深みが増し、非常に感動的でした。弦楽器のピッチカートが印象的な第2楽章は、スケルツォ的に響きました。第3楽章は、ヴィオラが旋律を先導します。そのえもいわれぬ哀愁ただよう旋律から音楽は広がり、最後には安らぎのようなあたたかさが会場を満たしました。第4楽章のアレグロは、再び力強く、万感の思いで繰り広げられました。各々がしっかり主張していながら、1つの音楽を創り上げている素晴らしいアンサンブルだったと思います。一時も飽きさせない、魅力的な演奏に、会場からは大きな拍手が贈られ、カーテンコールに3度も出てくるほどでした。

 

 

 

 このシリーズの第6回は、すでに来年開催予定とのこと。次はどんな演奏を聴かせてくれるのか、今から楽しみです。

(M.)

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