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KSCO 
岡田 奏 ピアノリサイタル開催レポート
2008年8月30日(土) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
2008年
9月2日(火) 18:30開演(18:00開場)
会場:カワイミュージックショップ仙台 4階ホール

岡田奏さんはまだなんと17歳!しかし既にリサイタルを何回も開かれており、着実にピアニストとして活動の幅を広げておられます。今回のリサイタルも前売り券完売という盛況ぶり。当日はあいにくの雨でしたが、この若きピアニストの演奏を聴こうと、子供からお年寄りまで、会場には幅広い年齢層のお客さんが集まりました。

今回岡田さんが組んだプログラムは非常に興味深いものでした。本人曰く、ドイツの3大B(バッハ、ベートーヴェン、ブラームス)を中心にプログラムを組んだとのことですが、その間にラヴェルとリゲティが入り、バロックから20世紀まで、西洋音楽史上の様々な時代の音楽をカヴァーしたものとなりました。これだけの幅広いプログラムをこなすのは並大抵のことではありませんが、これも岡田さんの自信と意気込みのあらわれなのでしょう!

まだ若い岡田さんですが、かなりのテクニックと音楽性が備わっていることが、演奏を聴いてわかりました。たとえば、プログラム冒頭の「シャコンヌ」(バッハ作曲/ブゾーニ編曲)では、深いタッチで重厚な響きを実現します。一方「夜のガスパール」(ラヴェル作曲)では軽いタッチで不可思議な響きを作り出しました。このように様式を理解し、それにふさわしいタッチを使い分けるテクニックはさすがです。

後半の「ピアノソナタ第30番ホ長調作品109」は、ベートーヴェンの後期の傑作です。冒頭の1フレーズから、柔らかく美しい響きで、聴き手を魅了しました。軽くお辞儀をした後、リゲティの「ファンファーレ」を演奏。ベートーヴェンのソナタの優しい世界から一変、不可思議で急速な音楽で聴き手の意表をつきます。最後はブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲作品35」の第1巻。超難曲として有名な作品です。ブラームスらしい重厚な響きを意識しながら、超絶技巧をしっかりこなしていきます。その高度なテクニックは圧巻でした。このように非常に内容の濃いプログラムでしたが、様々な時代のスタイルをよく理解し、多彩な音楽表現を実現しているのは実に見事でした。

鳴り止まぬ拍手に応え、岡田さんはアンコールにラヴェルの「水の戯れ」を演奏。多彩な音色を有する岡田さんですが、プログラム前半の「夜のガスパール」にも通じるラヴェル特有の「水」の響きは実に見事なものでした。さらに聴衆のアンコールに応え、リストの名曲「ラ・カンパネッラ」を演奏。アンコールまで難易度の高い曲をこなした岡田さんは素晴らしい!

ヴァラエティに富んだ意欲的なプログラムで聴き応えがあり、非常に充実した演奏会でした。完成度高く、端正な演奏を聴かせてくれた岡田さん。現在パリの音楽院で研鑽を積んでおられるそうですが、これからの更なる活躍が今から楽しみです。また素敵な演奏を聴かせてください!

  

仙台公演の終演後の様子。岡田 奏さんのお母様、調律師さん店長さん、そしてお父様。皆さんと記念撮影。岡田さんはこの9月から文化庁新進芸術家海外留学制度研修員として大学院生活を送る予定です。しばらくのあいだ日本での演奏は聴く事が出来ませんが、また演奏が聴ける日を首を長くして、そして楽しみに待っています!

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