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●ロシアン・ピアノスクール in 東京 講師模範演奏レポート
 2008年
8月18日(月)ネルセシヤン&ピサレフジョイントコンサート

 

〜当日のプログラム〜

アンドレイ・ピサレフ
シューベルト:ソナタ イ長調 D.664
ラフマニノフ:前奏曲 ニ長調
Op.23-4、ト短調 Op.23-5、変ホ長調 Op.23-6、ハ短調 Op.23-7

パーヴェル・ネルセシヤン
ショパン:子守歌 Op.57、スケルツォ 第1番 Op.20
ラヴェル:夜のガスパール

 7日間にわたって開催されるロシアン・ピアノスクール、講師模範演奏の第2回である本日は、ネルセシヤン教授とピサレフ教授がそれぞれソロの演奏を披露してくださいました。

 まずは、ピサレフ教授によるシューベルト《ピアノ・ソナタ》イ長調 D. 664。穏やかで温かさにあふれる音楽が、第1音から会場を満たしました。この心地良い音楽の流れに、第2楽章ではやや感傷的な美しさが、第3楽章では軽やかなリズム感が加わっていきます。非常に洗練された、上品な音楽創りは、シューベルトが友人たちを招いて行っていた“シューベルティアーデ”のような親密さでもって、聴衆に届けられました。後半のラフマニノフ《前奏曲》からの4曲では、雰囲気は一変。シューベルトの時の軽い透明感のある音色から、芯の太い厚みのある音色へと、作曲家の国や時代、個性を反映した変化がはっきりと聴き取れました。とりわけ、ト短調Op. 23-5やハ短調Op.23-7での力強いffは、決して力任せにすることのない、雄大なロシア的広がりがあり、感銘を受けました。

 続いてネルセシヤン教授は、ショパンを2曲。《子守歌》での、本当に愛する子どもを寝かしつけるような、甘く優しい演奏は、まさに絶品でした。《スケルツォ第1番》は、彼独自の世界で繰り広げられたと言えるでしょう。最初の2つの和音からffの激しい演奏もしばしば聴かれますが、ここではまだ控えめに、どこか神秘的にさえ感じられる出だし。そして、夢見心地な美しい中間部を経て、再現部で徐々にテンションは上がり、コーダでのエネルギーの爆発と、そのプロセスは聴き手をぐいぐいと引き込むものがありました。最後はラヴェルの《夜のガスパール》。本当に素晴らしい演奏でしたが、私が最も印象を受けたのは、息を潜めるようなppから会場を圧倒させるようなffまでの強弱の幅の広さと、それに伴う表現の多様さでした。この名演に、盛大な拍手が沸き起こりました。鳴り止まない拍手に応え、ピサレフ教授も再び登場され、連弾曲(ビゼー:子供の遊びより)を聴かせてくださいました。

 このような素晴らしい講師陣に教えていただけるということは、本当に貴重な経験だと改めて感じました。直接のレッスンばかりでなく、本日の演奏からも、多くのことを学ぶことができたことでしょう。

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