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ロシアンピアノスクールin東京 ガラ・コンサート開催レポート
〜ピアノ協奏曲の饗演〜
2008年
6月7日(土)  第1部 13:00開演 / 第2部 17:00開演
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

 

 

第1部・レポート

ロシアン・ピアノスクールin東京は、世界最高峰のモスクワ音楽院ピアノ科から、セルゲイ・ドレンスキー教授、パーヴェル・ネルセシヤン教授、アンドレイ・ピサレフ教授の3名の講師を迎えて行われる短期集中レッスンです。

今回のコンサートは、過去5回のロシアン・ピアノスクール受講者、延べ142人の中から選び抜かれた次代を担う6人の精鋭ピアニストたちが、ピアノ協奏曲を演奏するというもの。第1部と第2部合わせて6曲のピアノ協奏曲が演奏されるという、滅多にない非常に充実した演奏会になりました。

第1部のプログラムは以下のとおりです。
酒井麻里  サン・サーンス  ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 Op.22
前山仁美  ラフマニノフ   ピアノ協奏曲 第1番 嬰ヘ短調 Op.1
吉武優   ブラームス    ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 Op.83

最初に登場したのはサン・サーンスのピアノ協奏曲第2番を演奏された酒井さん。重厚な響きと華麗なテクニックが際立った演奏でした。

続いて前山さんが演奏されたピアノ協奏曲 第1番 嬰ヘ短調 Op.1は、哀愁漂う旋律が心にしみる曲です。前山さんはこの若きラフマニノフの作品を、情感たっぷりに演奏されました。

第1部の最後は吉武さんの演奏によるブラームスのピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 Op.83。美しく穏やかな旋律を深みのある音色で表現したのが印象的でした。

今回の曲目はどれも非常に高度なテクニックを要する大曲ばかりです。これらの作品を3人の若きピアニストたちはそれぞれ全身全霊を込めて弾き切りました。さらに、オーケストラ・パートをピアノで演奏されたアンドレイ・ピサレフ先生も安定したテクニックでソリストたちを支え、素晴らしかったです。名作をハイレヴェルな熱演で存分に味わえた、内容の濃いコンサートでした。

 

 

第2部

ガラ・コンサートも後半。客席の中には若い学生の姿も目立ちます。

最初に登場したのは、入江一雄さん。ラヴェルの《左手のためのピアノ協奏曲》は、その名の通り、ソリストが左手しか使わない曲です。入江さんは右手を右ひざの上に置き、左手だけで、分散和音と叙情的な旋律を同時に奏でたり(第1部の主題のひとつ)、強い和音をすばやく平行移動をしたり(第2部)。ジャズ風の第2部では、ピサレフ先生の淡々とした伴奏。全体として、入江さんの元気な演奏が際立っていました。

次にピンクと黒の柔らかな衣装であらわれたのが法貴彩子さんです。視線や身振りからも、ラフマニノフの《ピアノ協奏曲第3番》の音楽にしなやかに入り込んでいました。まず第1楽章冒頭で、両手で弾く弱音の第一主題の旋律のなめらかさにはっとさせられました。その後のカデンツァでは細かい音符ひとつひとつの音の粒が揃っていて、丁寧な気遣いが感じられました。また、第2、第3と楽章が進むにつれて、情熱的な強い音も増えてきました。ピサレフ先生との和音のタイミングは見事です。

最後に高田匡隆さん、ホールに恐ろしい大音量を響かせました。プロコフィエフの《ピアノ協奏曲》は、破天荒な生活を送った末に自殺したプロコフィエフの親友に捧げられた挑発的な曲。高田さんは、高いテクニックで聴き手を仰天させた第1楽章、ノリのよい第2楽章と、曲の躍動感にのって一気に第4楽章まで弾きこなしました。練習ではピサレフ先生と意見の違いもあったそうです。高田さんこだわりの演奏でした。

プロコフィエフのこの曲、激しいだけではなく、きわめて叙情的な部分が含まれていますが、そのような部分でピサレフ先生の演奏にはうなずかされました。

今日のコンサートの半分がロシアの作品。ロシア式の指導を受けた演奏者の皆さんは、きらびやかな強音と叙情的な旋律のコントラストや複雑な音楽性をものにしておられました。いずれオーケストラとの競演も聴いてみたいですね。

 出演者の皆さん

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