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●ロシアン・ピアノスクール in 東京 2012
パーヴェル・ネルセシヤン ピアノリサイタル 開催レポート
2012年8月12日(日) 19:00開演 開場18:30  
会場:カワイ表参道

 

 8月11日から「ロシアン・ピアノスクールin東京」が始まりました。今年で10周年を迎えるこの行事では、伝統あるロシア・ピアニズムを受け継ぐ教授陣によって、厳正なる審査のもとに選ばれた受講生への公開レッスンが一週間に渡って行われます。本日も夕方までレッスンがあり、夜には講師であるパーヴェル・ネルセシヤン先生のハーフコンサートが開かれました。追加席も埋まるほどの盛況ぶりをみせ、中には受講生と思しき方々もちらほら。ネルセシヤン先生が舞台に登場してピアノから微細な音色を紡ぎだすと、その一音一音に耳を澄ませるかのように客席の集中力も一気に高まりました。

 プログラムは、スペインの作曲家、グラナドスの《ロマンティックな情景》より〈マズルカ〉〈レチタティーヴォ〉〈舟歌〉〈レント〉〈アレグロ・アパッショナート〉〈エピローグ〉の全6曲、そして同じくスペイン出身のアルベニス《イベリア 第1集》の第3曲〈セビリヤの聖体祭〉と第5曲〈アルメリア〉、第7曲〈エル・アルバイシン〉です。

 いずれもどこか「スペインらしさ」をもった楽曲で、異国情緒に耽る思いでしたが、このような作品の個性以上に特筆すべきなのは、ネルセシヤン先生の卓越したテクニックについてです。一台のピアノから引き出されているとは俄には信じがたいほど音色が多彩で、その鮮烈な印象が聴き手を終始飽きさせることなく次の音への想像力を掻き立てて、音楽の流れを生き生きとしたものにさせます。まるでハープかギターのような音が聴こえてきたかと思えば、鋭さをもった音色に変わったり、真珠のように丸い音の粒が散りばめられたり。音の強大さや威圧感でもって音楽を作り上げるのではなく、むしろその逆に、微細で美しい響きを追求するネルセシヤン先生のセンスの良さと、ピアノという楽器の奥深さを改めて感じました。

                                    (A. N.)

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