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 ホーム(ニュース)根津理恵子のポーランド通信第7回「初レコーディング記」

第7回「初レコーディング記」

 

2007年が始まりました!今年もどうぞよろしくお願いします!!


        ワルシャワ・フィルハーモニー・ホール

今年のポーランドの冬は平年より暖かめ。とはいっても北海道とほぼ同じ気候のようですが、昨年と比べたら雲泥の差です。

昨年1月私は、ワルシャワ・フィルハーモニー・ホールで、パデレフスキとショパン作品集のレコーディングに挑みました。この時ポーランドは大寒波に見舞われ、大雪&極寒の毎日で、23日にはマイナス27℃を記録。指なんてガッチガチでビクともしない!でも限られた時間なので、動かない指に喝を入れてレコーディングを開始しました。

パデレフスキというと20世紀を代表する名ピアニストでショパン全曲集の監修者、そしてポーランドの首相でもあった国民的英雄ですが、作曲家としても才能に溢れ大変素晴らしい作品を遺しています。

彼の名を冠した国際コンクールがポーランドで3年毎に開催されていて、課題曲にはもちろんパデレフスキ作品も含まれます。私も2004年に参加しましたが、光栄なことに2次予選で弾いた大ソナタに対して「パデレフスキ作品最優秀演奏賞」を頂くことができ、それが今回のCD制作のきっかけになりました。

ずっと憧れていた、生まれて初めてのレコーディング実現でしたが、喜びも束の間、録音開始早々さまざまな難関に直面。

まずパデレフスキの「変奏曲」からスタートしたのですが、試しに録った音を聴いてみて愕然。。。表現していることが全く伝わってこない!!

これはレコーディングと演奏会の大きな違いです。弾き手は普段通り表現しているつもりでも、演奏会のように視覚的に訴えることも会場の空気感で伝えることもできないので、いつもの何十倍の表現力をもって臨まないとレコーディングは成功しないのだそう。

その後、気に入るまで徹底的に録り直し、ついに変奏曲のテーマ16小節のために半日費やすことに。レコーディングの難しさを思い知りました。

翌日も引き続きホールに缶詰め状態。今度は30分の大ソナタの収録なので、集中力を切らせないようにと気を張りつめ、チョコレートで頭に栄養を与えて・・とそんなことを繰り返していたら、あーっ・・・鼻血!!

でもレコーディングスタッフさんの的確なアドバイス(鼻血に対してはありません、笑)のおかげで、なんとか順調に進みました。

全ての曲を録り終えた頃にはヘトヘトで、「大丈夫?生きてる?」と突っ込まれる始末。それでも、丸2日全員で納得いくまでこだわった末の疲労は、充実感に満ちて心地よく感じられました。

レコーディングによって自らが鍛えられました。

そして出来上がりの音響を聴いて、スタッフさんの素晴らしさに脱帽です!

このCD、近々日本の店頭にも登場します!

ショパン生誕200周年であると共に、パデレフスキ生誕150周年でもある2010年に向けて、日本でもパデレフスキ作品がより広く浸透していきますように。このCDが少しでもそのお役に立てるのならば本望です。

「ポーランドへの深い愛情と理解をもって、国民的英雄パデレフスキとピアノの詩人ショパンに捧ぐ。

第15回ショパンコンクールファイナリスト根津理恵子の最新盤!(パデレフスキ/ピアノソナタ 邦人初録音)」

 

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 掲載元:「あんさんぶる」2007年1月号より転載。(あんさんぶる編集室に転載許可済み)
あんさんぶる編集室(
カワイ音楽教育研究会 機関誌)に無断で転載することを禁止します。

 

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