若葉萌える季節到来です。毎年この時期になると、ワルシャワの街は、自転車通勤や通学の人が増え、休日ともなると、冬場にシーンと静まり返っていた街中の公園が、どこも家族連れで賑わいます。長く厳しく暗い冬が終わったことへの喜びを皆で分かち合うかのごとく、街が一気に活気づきます。
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ワルシャワ南部の森、家族連れで賑わう。
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初めてワルシャワの新緑に出会った2年前、まさに文字通りの「ハッと息を呑む」感動を味わったことは、今でも鮮明に心に残っています。真っ青な雲ひとつ無い空に、天高くまっすぐ伸びる若草色の木々を眺めながらの散歩は、心が洗われるよう!日本ではあまり散歩に縁がなかったのですが、こちらでは時間を見つけては歩き、しかも必ず新しい道やスポットを発見しながらの散策が、心のオアシスになっています。そのおかげで今やすっかり「緑」の虜になってしまい、普段身に付けるものから演奏会用のドレスまで「緑」グッズが日々増える増える・・・(笑)。
今年こうして緑に色づいた木々はやがて色を変え、いずれ落葉の季節がやってきて、そしてまた来年のこの時期には、美しく生まれ変わる。当たり前のことですが、この普遍的なサイクルに自然の偉大さを感じます。
「再び生まれ変わる」ことは、ポーランドにおいて非常に尊重される精神のひとつでもあります。
一年を通して、カトリック教徒ならではの祝祭日が多いポーランドですが、中でも最も重要なのは「クリスマス」と「イースター(復活祭)」で、「復活祭」はポーランド語では「Wielkanoc(ヴィエルカノツ)」、直訳すると「偉大な夜」となります。
「誕生(クリスマス)ももちろん素晴らしいことですが、私たちの心により近いのは、復活の方かもしれません。」と、ある時、ポーランド人が話してくれたのも、とても印象深い出来事です。
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可愛らしく絵付けされたポーランド名物の
pisanki
ピサンキ(イースターエッグ)、イースター象徴の野うさぎとヒヨコ
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ポーランド人と「復活」は切っても切り離せない繋がりで結ばれていて、「ワルシャワ歴史地区・旧市街」には特に、どんなに打ちのめされても這い上がり、見事に復興を遂げた彼らの精神の底力を感じます。そして私は自分の無力さ、度量の小ささを痛感させられるわけですが、それがまた成長のための大きなエネルギー源になっているのも事実です。留学して、自分を見つめ直す時間が増え、煮詰まってしまったり落胆したりは日常茶飯事ですが、その都度、尊敬すべき人々から学んだ「人生には真正面から逃げずに立ち向かう」姿勢を思い出すように努めています。
自然や人々の偉大さにならい、不撓不屈の精神で、どんなことがあっても決してあきらめない人間でありたいです!
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掲載元:「あんさんぶる」2006年5月号より転載。(あんさんぶる編集室に転載許可済み)
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