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第13回「MPAの裏話」*海外研修編* コンサート調律師(MPA) 大久保 武
あれは今からちょうど18年前だったよなぁ〜。
海外技術研修なんてまだ誰も行った事なかったからまるで雲をつかむようなものだったけど、良くやったよ全く!自分でも感心しちゃう!
まぁ研修生一期生の中では一番年下だったから少しは気が楽だったけど、渡欧する前の事前研修から仲良くしながらもライバル意識が結構あったよね…
工場での事前研修は整調作業や音造りも大切だったけど、バック(アクション以外の楽器の部分)の組み立ては何日も見続けたなー。ドイツではピアノ技術者は作ることから始める(本来そうあるべきなのだが)と聞いていたので、「日本はどうやって作っているの?」って聞かれて答えられないんじゃ話にならないからね!
しかし昼の研修が終わって週何回か英会話を習いに行ったけど、ドイツに行く事が決まっていたからドイツ語にしてて欲しかったよなー!? 6月下旬に向こうに行ったら直ぐに「英語は役に立たないからドイツ語覚えて!」ってデュッセルドルフのゲーテインステテュート(ドイツ語の専門学校)に通ったけど英語とドイツ語とごちゃ混ぜになって悲惨な状態だったもんなー!
でも本当に楽しい二ヶ月だった。世界中から集まった老若男女がクラスにあふれ、活気ある授業と色んなイベント、寸劇もやったっけな…学生気分って良いよね!
デュッセルドルフは日本人の多い街で暮らすにはあまり苦労は無いが、9月から滞在したボッフムはほとんど日本人はいなかった。一年近くお世話になったテューマ(月産1〜2台のピアノメーカーでショールームとコンサートホールを同じ敷地に持つ)のコンサートマネージャーが日本語を喋れたので大変助かった。今はカワイドイツの社員で名前はペーターって言うんだけど知ってる人は多いよねー!
期待80%、不安120%の200%のテンションで始まった生活はとても日本では想像できない毎日だったよ!ドイツでまず驚いたのは土曜の午後と日曜はほとんどの店が閉まっており、買い物ができない事や、夜中少しでも騒げばすぐ苦情が来る、部屋を綺麗にしないと怒られる等で、不便な感じが強かったがしばらく住んでいるとそれが非常に心地よく、ストレスがない生活に思えてきた。
ちょうど今ドイツで環境サミットやってるけど一般の市民(特にお年より)も環境問題に敏感で、’89年当時から停車中の自動車はアイドリング禁止(警察ではない人に注意される)や、空き瓶のリサイクル、スーパーでの有料ポリ袋等は異次元の世界だったよ!
今回のひとりごとはこれくらいにして、写真を紹介します。
600年経ってもまだ建設中のケルン大聖堂
ゲーテインステテュートのクラスメイト
2年間がんばってくれた愛車BMW316
1年近くお世話になったボッフム市の楽器会社Thuemer(テューマ)
大久保 武(おおくぼ●たけし)
1979年 調律養成所18期生、卒業入社
1989年 海外技術研修生1期生として渡欧
1991年 帰国、ピアノ研究所勤、務EX製作
1994年〜 九州支社MPAとして活動国際コンクール歴:(主なもの)
1989年 ケルン トマソーニ音楽コンクール
1990年 ボルツァーノ ブゾーニピアノコンクール、ワルシャワ ショパンコンクール
1993年 ミュンヘン 国際音楽コンクール
1994年 ロンドン ナショナルパワー国際コンクール
1995年 東京 日本(東京)国際音楽コンクール趣味:ゴルフ・ピアノ
特技:ピアノ調整工具作り
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