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パスカル・ドゥヴァイヨン 教授の
『 一度は勉強しておきたいピアノ作品』開催レポート
〜新・ 作曲家別に見る演奏学習法 公開講座シリーズ 〜
各回ともに 10:00 開場 10:30 開講
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
第7回
2022年
2月9日(水)
《モーツァルト第1弾》
きらきら星変奏曲 KV265
ピアノソナタ ニ長調 KV311

2月9日(木)パスカル・ドゥヴァイヨン教授『一度は勉強しておきたいピアノ作品』第7回:《モーツァルト 第1弾》が開催されました。

ドゥヴァイヨン教授による「ピアノソナタ ニ長調 KV311 第1楽章」の演奏からスタート。
爽やかでクリア、美しい音色が会場に響き渡ります。

まず初めに、ドゥヴァイヨン教授のモーツァルトのソナタについての見解をお話いただきました。
(1) 完璧に近く、一見シンプルで明快なように感じるが、演奏をするのはとても難しい。その理由として、シンプル過ぎること、全てが明快過ぎて本質しか無く、妙技を見せるようなものが一切ないため。
(2) 若いピアニストにとって、モーツァルトの作品を勉強する事は、「完璧」を追求するという意味があり、ロマン派のようなルバート無しでも指先で感情表現を見出すことが出来る。
(3) ポリフォニーが複雑に絡む大きなフレーズはほとんどないが、デュオの要素が強く、左手はたとえ副主題的な役割だったとしても決して無視できるものではない。
(4) 全ての音が歌っていることも大きな特徴で、自分の音に耳を傾ける事を学ぶ素晴らしい機会である。

ここで先生から、ピアニストならば持っておきたい一冊として、
「エファ&パウル・パドゥラ=スコダ:モーツァルト 演奏法と解釈」の書籍をお勧め頂きました。

本日の取り上げる、ソナタ ニ長調 KV311を詳しくみていきます。

先ず、ニ長調という調性に注目。
モーツァルトのソナタにはニ長調の作品が3曲あり、「ニ長調」の特徴として、華やかでヴィルトゥオーゾ的な役割があるとのこと。

冒頭のバスの和音にも工夫が必要で、現代のピアノと当時のピアノの違いを考えて演奏する必要がある。
当時のピアノの音色は、バスがクリアな響きであったため、これを現代のピアノで演奏するには、クリアにするためにアルペジオにしたりする工夫が必要。
また、音質については、基本的に指を用いただけ。ペダルは最小限にするが、こじんまりしたり色あせたりするのとは違い、頭の中にオーケストラをイメージして書かれた作品であることを忘れてはならないとのこと。
重さは手の重さだけで十分で、場合によっては前腕を使ったりもするが、一切無理して音を出すことが無いように気をつける。
指を鍵盤の方に落とすようにして弾く練習にはモーツァルトは最適であり、早いパッセージにではクリアに打鍵できるように少し丸みを帯びた指で打鍵する事を優先すること、具体的にはほぼノンレガートのような打鍵で、必要な音・表現を指で学ぶ良い機会にもなる等、演奏にも指導にも大切なポイントをお話頂いた後、具体的な箇所をあげて、実演を交えながらさらに詳しい解説を頂きました。

後半は、きらきら星変奏曲の解説へ。
まず最初に古典の変奏曲でのルールについて、作曲家の指示が無い限り主題と変奏は同じテンポ、第一変奏は主題から続けて変奏(一呼吸のみ)他、ご説明いただきました。
実際の作品をみていきます。
冒頭の「テーマ」の捉え方、昨今は繰り返した2回目は一回目と強弱を変えるような表現が慣例化しているけれども、テーマに一貫性が無く感じるため、1回目と2回目の全体の強弱を大きく変える表現はしなくて良いと思う。
自然なアーチを描く流れを作るように、またアーティキュレーションを変えてみる等、演奏のアドバイスをお話頂きました。

終わってみるとあっという間の2時間…。
この2曲に限ったことではなく、モーツァルトの作品全般に通じる大切な極意を学んだ貴重な時間となりました。

次回は、4月8日(金)「第8回:メンデルスゾーン 第1弾」を開催致します。
ピアノを学ぶ全ての方に是非ご参加頂きたい思います。
皆様のご来場をお待ちしております!

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