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パスカル・ドゥヴァイヨン 教授の
『 一度は勉強しておきたいピアノ作品』開催レポート
〜新・ 作曲家別に見る演奏学習法 公開講座シリーズ 〜
Vol.1 作曲家と仲良くなるには、付き合い始めが肝心
第3回
 2020年2月21日(金)
ショパン 第1弾 
お話(1) ショパン音楽の特徴について
 取扱曲目:バラード第3番 変イ長調 Op.47 と スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31を中心に
お話(2) 練習方法について
 取扱曲目:幻想即興曲 嬰ハ短調 遺作 Op.66を中心に
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 パスカル・ドゥヴァイヨン教授による講座シリーズ『一度は勉強しておきたいピアノ作品』第3回目の21日は、ショパン作品を中心とした公開講座となりました。聴衆、演奏家を問わず愛好家が多いショパン作品は、とりわけ多くの演奏機会を得ています。一方で、十分な楽譜解釈がなされていない、多様な演奏で溢れる現状への意識から、今回ショパン作品《バラード第3番変イ長調Op.47》《幻想即興曲 嬰ハ短調遺作Op.66》《スケルツォ第2番変ロ短調Op.31》が取り上げられました。

 《バラード第3番変イ長調Op.47》では、文学などの物語を直接用いず、詩的な器楽曲としてのバラードを残したショパンが、いかにして曲を構成していったかを丁寧に探っていきました。詩人ボワローによるフランス古典演劇の三大統一の法則「時の統一」「場の統一」「筋の統一」を例に挙げ、ショパンのバラードは冒頭の要素が用いられ続けることで聴き手が集中して聴くことができるように構成されていることをご説明されました。細部にわたって読み解いていくと、ペダリングからも作曲家の意図を読み取ることができます。休符を活かすペダリングによって呼吸が感じられるというご説明と実演によって、音を鳴らすだけではない、空間への意識と感覚を磨くことの大切さがうかがえました。

 《幻想即興曲 嬰ハ短調遺作Op.66》では、柔軟性をもって、指が開きっ放しではなく安定を移していくように次の指を準備する練習法についてお話されました。続いて、ショパンのスケルツォでは、フレーズについて、4小節単位で作られていること、さらに4小節の中で1、3小節目が強拍であることを把握した上で曲を読み進めました。デクレッシェンド、クレッシェンドの後の文字でのcrescendo表記など、それぞれがどのような意味を持っているのか。これほどに深く読むと作曲家の意図がうかがえてくること、それを個々の譜読みの際に実践していくために大きな手がかりとなるドゥヴァイヨン教授の講義でした。著名な演奏を参考にしつつも、もし異なる結論に至ったならば、誰かの演奏を真似して弾くのではなく、自分なりの解釈を演奏で説得して欲しい、と最後にお話されました。

 次回の講座は4月24日、リストとドビュッシーの作品を扱い、曲の統一感、説得力のある演奏をテーマに開催予定です。

(W.T.)

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