トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > 公開講座シリーズ > 田崎悦子 大人のためのピアノワークショップ > 開催レポート

ピアニスト 田崎悦子 大人のためのピアノワークショップ開催レポート
Joy of Music 40+ Vol.12
☆好評企画第12回開催・ピティナ提携セミナー 
〜 人前で演奏する事をふまえた40 才以上の方への公開レッスン 〜
第1回 2018年11月 1日(木)AM.10:30 〜 PM.12:30 (開場 10:00)   
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 本日は、パウゼではピアニストとしてもピアノの指導者としてもお馴染みの田崎悦子先生が、40歳以上の大人のための公開レッスンをされました。毎年好評なこのシリーズでは、田崎先生が会場の聴講者と積極的にコミュニケーションを取る場面も見られ、この公開レッスンが今日集まった全員にとって、音楽を生涯楽しむための大切な時間となったことと思われます。

 最初に受講されたのは、阪本歩子さん。公開レッスンを受講することをかなり迷っていらしたうえでの決断ということでしたが、ショパンの《ノクターン》作品27-1,2をとても繊細に美しく演奏されていました。田崎先生はそのセンスを褒めたうえで、ノクターンを演奏する際に必要な音の聴き方を指導されました。ショパンの《ノクターン》は他のピアノのレパートリーに比べて、息の長い音符や旋律線が多くなっています。田崎先生は、ピアノの減衰してゆく音をよく追いかけること、左手と右手で動きの量に差があるときは動いてないほうの音をよく聴くこと、スラーをよく見ながら音作りをすることなどをお伝えになりました。

 次に受講されたのは三浦陽子さん。シューベルトの《楽興の時》第4番と第6番での受講でした。とても指回りがよく、第4番の細やかなパッセージもさらりと弾きこなしてしまう三浦さん。田崎先生はその技術をもっていかに音楽的にこの曲を演奏するかを指導されました。例えば速度表示Allegrettoなどはただ「Allegro(速く)よりも遅い」という意味だけではなく、「Allegroよりも優雅に」という意味に捉えることでウィーンの作曲家に特徴的な味わいを出すことが出来ます。また、技巧的で右手と左手の音の揃えが難しい箇所も、音楽を縦ではなく横に捉えること、エチュードのように「速いパッセージ」ではなく「歌」だと感じることが大切であり、それらを実現するためにはゆっくりからの練習が必要です。先生の言葉に熱心に耳を傾けていた三浦さんの音色は、この短時間のレッスンのあいだにも変わっていました。

 最後に受講されたのは森田基子さん。シューベルトの《感傷的なワルツ》を原曲にしたシューベルト=リスト《ウィーンの夜会》第6番を演奏されました。先のお2人の演奏されたショパンやシューベルトに比べて、ダイナミックな和音の連続が特徴的な序奏をもった楽曲です。ただしこの序奏もただ和音の連続を力いっぱい演奏するだけではなく、ペダルの切り方やちょっとした間の空け方で味わいが大きく変わります。また、シューベルトのワルツが姿を現すときも、ワルツで通常アクセントをつける1拍目だけではなく、3拍目も丁寧に演奏することで、ウィンナーワルツの優雅な雰囲気が出せます。

 今回は3人の受講生が各々違う色合いの曲を持ち寄られましたが、田崎先生はいずれの方にも各声部のバランスの話をされていました。ピアノというのは西洋音楽の楽器の中でも音域が広く、一人でいくつもの声部を担当することになります。よって、楽器の音響上の特性をよく知りながら、いかに大事な音を際立たせるかが、美しく演奏する鍵となります。このシリーズは全2回の講座となっていて、2週間後に同じ受講生が再び同じ曲を演奏し、前回のレッスンからの成果や練習過程・将来的な課題も見つめてゆくことも特徴的です。今日受講されたお三方の音楽にどのような変化があるのか、次回が楽しみな限りです。

(A.T.)

 ホーム(ニュース) > 公開講座シリーズ > 田崎悦子 大人のためのピアノワークショップ > 開催レポート