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ミュンヘン国立音楽大学教授
今峰由香 ピアノ公開講座
〜ヨーロッパのレッスン風景 第7弾〜
2018年 2月8日(木) 10:30 〜 12:30
会 場 /カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
今回の今峰先生によるピアノ公開講座ではロマン派の作曲家であるブラームスの作品にフォーカスを当てた演奏法を学ぶことができました。まずは、ブラームスの人柄や同時代に活躍していた作曲家たちによる影響、たとえば彼のバッハやベートーヴェンへの崇拝やシューマン夫妻への敬愛などを説明してくださいました。このように作曲家の背景を知ることで、より親しみを感じながらブラームスの音楽に向き合あえたように思います。
次に《6つの小品 作品118 より第1番、第2番、第3番、第5番》を一曲ずつ、観客も一緒に楽譜を開きながら詳細に分析しました。今峰先生が特に注意されたのは「Allegro」や「Andante」といった音楽用語です。こうした音楽用語は譜読みの段階ではあまり気に留めませんが、作曲家からの唯一の直接的なメッセージであり楽曲の雰囲気を決めるとても重要な役目を担っていることを再認識しました。また、ブラームスの楽譜で多用される一音のうちにクレッシェンドとディクレッシェンドを要求する表示「< >」にも注目し、クッションを入れたアクセントのように表情を込めて弾くことで、音量の減衰が避けられない楽器であるピアノでもこの表現に近づけることを教わりました。今峰先生のおっしゃっていた、一つの鍵盤を二本の指で順番にすべらせる打鍵法は、まるで弦楽器のポルタメント奏法のようになめらかにメロディラインを途切れさせないだけでなく、寄り添って語りかけてくるようなブラームスの音楽特有の優しさを演奏者自身も感じられる指の運びに思われました。
ペダルの使い方については、バスの音が抜け落ちないようにすることや常に演奏者の意識下にペダルの踏み替えを置くことなどを学びました。最後に今峰先生は《ワルツ 作品39 より第15番》について、子供向けに移調した曲や連弾用の曲などを紹介なさり、幅広い世代に支持されるブラームスの楽曲の奥深さを示してくださいました。
(M.S)