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中井正子“ドビュッシー没後100年記念”
ピアノ作品全曲公開講座(全10回)開催レポート
第9回 2018年 11月16日(金)10:30-12:30 
♪「ピアノのために・仮面・喜びの島」
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 秋も深まる11月半ば、中井正子先生による「ドビュッシー没後100年記念――ピアノ作品全曲公開講座」の第9回が開催されました。今回のテーマは、《ピアノのために》《仮面》《喜びの島》の3作品。平日午前中の講座にもかかわらず、たくさんの方が参加されていました。

 《ピアノのために》第1曲〈プレリュード〉では、冒頭左手の音型にアクセントとテヌートがセットで記されています。これはノン・レガートで、重すぎず軽すぎず、スタッカートの表現とは区別して弾く必要があります。ドビュッシーはこのような感覚的なニュアンスをきちんと書き分けているため、それを書かれている通りに弾き分けることが重要だと、中井先生は強調されていました。もちろん強弱についても同じことが当てはまり、例えば弱音のニュアンス(p、pp、pppなど)もそれぞれ弾き分ける必要があります。第2曲〈サラバンド〉はオルガン的な発想で書かれている曲のため、ハーモニーの変化や教会旋法のような響きを意識しながら弾くようにとのこと。一方、第3曲〈トッカータ〉はチェンバロ風に書かれており、はっきりとした打鍵でいきいきとした音を出すようにとお話されていました。

 《仮面》は拍子の扱いが面白い作品で、8分の6拍子でありながら2拍子系と3拍子系が組み合わされてフレーズが作られています。そのため、シンコペーションも拍感を意識して弾くことが大切。練習でゆっくり弾くときも、テンポ・アップしたときを想像して、はずみをつけた音で弾いておくようにという、具体的なアドバイスもありました。

 《喜びの島》においても、テヌート、アクセント、スタッカートの違いをはっきりと弾き分けるよう指摘されていました。「カデンツァのようにQuasi una cadenza」演奏する冒頭部分も、リズムや休符はしっかり守るようにとのこと。また、《喜びの島》はアントワーヌ・ヴァトーの絵画「シテール島の巡礼」にインスピレーションを得て書かれた作品なので、曲の終わりでは、その「歓喜を越えた狂気」を表現するかのように、不協和なdis音をしっかりと鳴らすようにというお話も印象的でした。

 次回はいよいよ本講座の最終回です。12月14日、「12の練習曲」をテーマに開催されます。ドビュッシー没後100年という記念年の締めくくりにふさわしく、彼の音楽の奥深さを再認識できる機会となるのではないでしょうか。

(Y. T.)

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