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中井正子“ドビュッシー没後100年記念”
ピアノ作品全曲公開講座(全10回)開催レポート
第8回 2018年 10月12日(金)10:30-12:30 
♪「前奏曲集 第1巻・第2巻」Vol.2
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 本日はピアニストの中井正子先生による、ドビュッシー《前奏曲》第汪ェ・第巻の公開講座が開かれました。中井先生の校訂されたハンナ社の楽譜を用いてのこの講座も、本日で全10回中の8回目を迎えておりますが、毎回講義の内容だけではなく先生ご自身による美しい実演も楽しみなものとなっております。今回はドビュッシーのピアノ作品の中でもとりわけメジャーなレパートリーである《前奏曲》ということで、平日の開講にもかかわらず多くの方が聴講にいらっしゃいました。

 課題の曲数が多かったため、2時間休憩無しの講座とは言え1曲あたりの解説は短時間となりますが、その限られた時間の中でも、中井先生は各曲の構造やペダリングの留意点・楽曲の成立についてのエピソード・声部の絡みや細かい強弱記号について、要点を抑えながら話を進めてゆきました。その中でも非常に印象的だったのは、《前奏曲》はドビュッシーの独特な書法が際立つ作品でありながらも、各曲が西洋の伝統的な楽曲にモデルを取っているというお話でした。例えば第汪ェの第1番〈デルフィ〉の舞姫達はサラバンドのリズムとなっており、第5番〈アナカプリの丘〉はタランテラの書法が用いられています。またイギリス起源の舞曲ジーグを模したような第11番〈パックの踊り〉は、やはりイギリスの代表的な古典作家シェイクスピアの戯曲に登場するパックを想起させます。このように各曲の起源となった西洋音楽の様式や西洋音楽を生み出した国々のことを想像すると、この《前奏曲》全体の見方も少し変わってきます。第沛Wよりもやや複雑な書法の目立つ第巻になると、アメリカのケーク・ウォークのリズムを用いた第6曲〈風変わりなラヴィーヌ将軍〉、エジプトのミイラの臓器をしまった神秘的な壺カノープが標題となった第10曲など、さらに様々な国や題材が現れます。また《前奏曲》については、標題がつけられながらもその標題が敢えて楽譜の末尾に書かれており、聴き手のイメージが膨らむよう促されていることも特徴的です。

 次回の講座は《ピアノのために》《喜びの島》など、しばしばリサイタルに登場する華やかなレパートリーが課題となります。今後の先生のお話も大変楽しみです。

(A.T.)

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