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パスカル・ドゥヴァイヨン 教授の
『 ドビュッシー:前奏曲集全曲 公開講座( 全6回)』開催レポート
会場:カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ
第5回 2018年10月26日(金)
第2集 10番 カノープ、第2集 4番 妖精たちはあでやかな踊り子、
第2集 3番 ヴィーノの門、第1集 2番 帆
※ムジカノーヴァ誌3・4月号掲載の内容に沿って

 

 パスカル・ドゥヴァイヨン教授による、ドビュッシーの前奏曲集を題材とした公開講座の第5回目が行われました。今回の曲目は、第1集 2番「帆」、第2集 3番「ヴィーノの門」、第2集 4番「妖精たちはあでやかな踊り子」、第2集 10番「カノープ」です。先生が奏でる豊かな音色に包まれて、これらのミステリアスな作品にどのような解釈の糸口が得られるのか、胸が躍りました。

 「帆」では、冒頭の全音音階による3度での下降を撫でるように演奏するために、ポジションを変えない指使いが提案されました。船の帆だけでなく踊り子がまとうヴェールがなびく度に様々な色が見える様子へとイメージを膨らませたドゥヴァイヨン教授の演奏には、終始しなやかさを感じました。

 「ヴィーノの門」では、ドビュッシーの《版画》の「グラナダの夕べ」にも用いられている、スペインのハバネラのリズムが根底に絶え間なく響いており、その上にはアラビア風の増2度を含むメロディが見られるといった楽曲分析がなされました。「きわめて荒々しく」と作曲家自身が記してはいるものの、ffの場面でもかたく乱暴に弾くのは避けることをドゥヴァイヨン教授は強調なさいました。

 「妖精たちはあでやかな踊り子」のキーワードである軽快さを表すには、ペダルを基本的に踏まずに一音一音はっきりとした発音をすることが要であり、行動が予期できない気まぐれな妖精をこの作品のイメージとしてドゥヴァイヨン教授は提示しました。また、右手と左手の滑らかな橋渡しや手首の使い方などを実演され、明確な練習法を受講者を学びました。

 「カノープ」の調性と曲想から死者の最後の旅を連想したドゥヴァイヨン教授は、「ヴィーノの門」と同じく、写実的よりかは題材に付随した印象を音楽に翻訳しているといった考察を述べておられました。この作品には古代の旋法が聞こえており、20世紀を代表するこの作曲家は、まったくの新しいものではなくクラシックを基盤とした彼の着想に合う独自の言語を発明している、と力説する姿が印象的でした。

(M.S)

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