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パスカル・ドゥヴァイヨン 教授の
『 ドビュッシー:前奏曲集全曲 公開講座( 全6回)』開催レポート
会場:カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ
第2回 2017年12月1日(金) 
第1集 4番 音と香りは夕暮れの大気に漂う、第1集 11番パックの踊り、第2集 9番 ピクウィック卿をたたえて、
第1集 8番 亜麻色の髪の乙女※ムジカノーヴァ誌9・10月号掲載の内容に沿って

  

 12月1日の公開講座はフランスのピアニスト、パスカル・ドゥヴァイヨン教授による『ドビュッシー:前奏曲集全曲 公開講座(全6回)』でした。第2回目の今回は、第1集4番「音と香りは夕暮れの大気に漂う」、第1集11番「パックの踊り」、第2集9番「ピクウィック卿をたたえて」、第1集8番「亜麻色の髪の乙女」をドビュッシーと文学をテーマに読み解いていきました。

 まずは、ドゥヴァイヨン教授によって4曲が演奏されました。フランス独特の香りを感じられるような演奏で、つづく解説に興味を惹かれました。

 最初にルコン・ド・リールの詩にインスピレーションを受けているという「亜麻色の髪の乙女」を見ていきました。この曲は愛のポエム、純愛の雰囲気を持った曲だとお話くださいました。また古代を思わせるような雰囲気が、5度音程、4度音程によるハーモニーによって作り出されています。詳しく説明くださったのはペダルについて。ピアノによってペダルの感覚は異なるため、グリッサンドしながら深さを探り音色を確認することが大切だとおっしゃいました。またテクニックに関して、24小節目に出てくるような和音のレガートをするときには、内声を最大限つないでいくことがポイントだそうです。

 つづいて「ピクウィック卿をたたえて」では、ピクウィック卿のコミカルなキャラクターが描かれています。左手では仰々しくイギリスの国家が歌われ、一方で右手は左手とは異なった方向性を持っており、気まぐれな曲です。21小節目の和音はヘミオラになっており、無理に出した音にならないように注意をするとともに、アクセントのついた和音はテヌートのついた和音から生まれてくるようなイメージで弾くと良いとご教授くださいました。

 次にボードレールの詩にインスピレーションを受けたという「音と香りは夕暮れの大気に漂う」。詩は全く穏やかなものではなく、冒頭を蒸気のようにぼやけて弾いてしまうと曲の性格とは合わない、緊張感を持った音で弾くことが大切であるとお話がありました。また和音のバランスの取り方について、和音構成音を一つずつ均等に弾いてみてからそれぞれの加減をよく聴いて決めると良いとアドバイスくださいました。

 最後の「パックの踊り」はシェイクスピアの「真夏の夜の夢」の話に出てくるパックをコミカルに描いた曲です。軽やかにフレーズを弾くための指使いについてや、36小節目からの和音の色を変化させて弾くことなどについて言及なさいました。

 講座を通して学んだことは、テクニックとは速く弾けることだけではなく、多様な表現の引き出しを持って演奏できることだと感じました。また時折みせるドヴァイヨン教授のユーモアさが印象的でした。時間を延長して受講者の質問にお答えくださいました。次回は2018年3月16日(金)に開催予定です。

(KT)

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