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パスカル・ドゥヴァイヨン 教授の
『 ドビュッシー:前奏曲集全曲 公開講座( 全6回)』開催レポート
会場:カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ
第1回 2017年9月22日(金)10:00 開場 10:30 開講 (12:30 終了)
第2集 5番 ヒースの茂る荒れ地、第1集 3番 野を渡る風、第2集 2番 枯葉、第1集 7番 西風の見たもの 
※ムジカノーヴァ誌7・8月号掲載の内容に沿って

 

 

 フランスのピアニスト、パスカル・ドゥヴァイヨン教授による、印象派を代表する作曲家クロード・ドビュッシーの前奏曲全曲の公開講座が行われました。記念すべき第1回目は、第2集 5番「ヒースの茂る荒れ地」、第1集 3番「野を渡る風」、第2集 2番「枯葉」、第1集 7番「西風の見たもの」の自然を題材とした四曲が選ばれました。

 まずは、ドゥヴァイヨン教授自らの演奏によって4曲が紹介されました。その音色は様々な風景を現前させ、これからどのような解釈が披露されるのか、想像の世界に誘われました。

 「ヒースの茂る荒れ地」では、最初の牧歌的な右手の下降旋律の指使いについて、漠然と小指からフレーズを始めるのではなく、最も歌うように演奏できる指と考えられる中指を起点にする具体的な提案がなされました。また、冒頭の旋律が作品の最後にも高音で聞こえてくる構成に対し、遠近効果を見出す解釈が提示されました。他にも、内声のレガート、音の柔軟性、色の変化、手首の位置、不協音程、これらの要素を丁寧に分析されました。

 「野を渡る風」では、打鍵のタイミング、指と鍵盤のコンタクト、左手と右手のコネクション、などについて「欲しい音をイメージしながら練習する」重要性が強調されました。さらに、冷静にかつ客観的に作品と向き合うことが、この前奏曲の持つ高度な技量に対する恐怖感を払拭できる、とドゥヴァイヨン教授は助言されました。

 「枯葉」では、「もの悲しさ」を表現するために和音の構成について詳細に分析されました。どのような音の積み重ねがドビュッシーの不思議な魅力を生み出しているかを考えることにより演奏者の耳を育て正確な譜読みにつながる、との見解を示されました。

 「西風の見たもの」では、強弱やペダルのタイミングが音楽の緊張感を生みだす、という考察がありました。到着点を定め、結果から発生へと振り返っていくスタイルで強弱を組み立てていく、ドゥヴァイヨン教授の音楽に対する端然とした姿勢が示されました。

 30分以上の延長をして、受講者からの質問に一つ一つ丁寧に答えている教授の姿も印象的でした。次回は、12月1日(金)に開催予定です。

(M.S)

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