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中井正子 ピアノ公開講座
『 J.S.バッハ:シンフォニア』〜分析と演奏の手引き〜(全5回)
第2回 2017年 6月23日(金)10:30-12:30  
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 中井正子先生による公開講座「J.S.バッハ:シンフォニア」〜分析と演奏の手引き〜(全5回)の第2回目です。今回取り上げられたのは、第4番ニ短調、第5番変ホ長調、第6番ホ長調の3曲です。

 このシリーズのテキスト「バッハ シンフォニア 分析と演奏の手引き」(分析:小鍛冶邦隆、演奏の手引き:中井正子)にあるように、この「シンフォニア」は、その初稿であった「W.F.バッハのためのクラヴィーア小曲集」の中の「ファンタジア」を、教育目的をもって配列し直し、再編したものだそうです。中井先生は各曲の演奏の手引きに入る前に、まずこのテキストに書かれている分析を読んで解説をなさり、その配列や調性の説明もしてくださいました。

 第4番では、使われている半音階的書法や、主題の継続的使用、主題の変形、3つの声部が折り重なって聞こえることなどが説明され、また長い音の後の音が大事だということもおっしゃいました。指遣いをよく分かってから練習すること、5指も含めて、1本1本の指に責任を持たせることも必要で、その際、1指と2指を使うときは腕の内側の筋肉を、3指、4指、5指の場合は外側の筋肉をそれぞれ意識して弾き分けることが大切だと話されました。

 トリオ・ソナタ風に書かれている第5番は、装飾音が非常に多く、シンフォニアの中では異例の曲です。アポジャトゥーラと呼ばれる前打音(倚音)が掛留後の解決音よりとても大事だそうで、このアポジャトゥーラを含めた多様な装飾音奏法によってこの音楽の表現が変わり、楽曲に生命が与えられるということです。この曲はその練習になる特殊な楽曲だそうです。

 次の第6番は、第5番同様トリオ・ソナタ風の書法で書かれています。この曲では、本来3拍子2小節に対して2拍子3小節分を対応させるヘミオラが使われています。ここは2拍子と3拍子の両方を感じて弾くことが大事で、どちらかだけになってはダメだそうです。通奏低音を伴った舞曲風のこの曲は、終止形を伴う段落がはっきりしていますが、その終止形を大事にすることが大切ということでした。

 分析と演奏の手引きを非常に分かり易く解説された講座でした。

 第3回は7月14日(金)に、第7番から第9番を取り上げて行われます。

(K.Y.)

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