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中井正子 ピアノ公開講座
『 J.S.バッハ:シンフォニア』〜分析と演奏の手引き〜(全5回)
第1回 2017年 5月19日(金)10:30-12:30 
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

   

 中井正子先生のピアノ公開講座『J.S.バッハ:シンフォニア』が、昨年の『インヴェンション』シリーズに続き、開始。第1回が開かれました。

 今回は、まず『シンフォニア』曲集の性格について説明。目次の、調性の並び方を見ることからのスタートです。いかに調性が重要であるか、バッハが曲の配列に心を砕いたかが表れているということでした。

 対位法についての基本的な説明もなされました。「声部の価値が同等」「主題がある」「その主題が模倣される」「声部を変えての転回対位法」これらを踏まえておくことが、『シンフォニア』を見ていくうえで重要となります。

 そして、1曲ずつ分析していきます。今回は第1番ハ長調、第2番ハ短調、第3番ニ長調。『シンフォニア』は三声となり、二声だった『インヴェンション』との違いをも見ていきます。

 第1番ハ長調は、冒頭に置かれているため、あえて伝統的な書法のものとなったのだろうとのこと。模倣やストレッタ、反復進行、旋法的な終止形が見られます。『インヴェンション』との違いは、主題が9度以上の音階で演奏されること。5度で、手の内でおさまった『インヴェンション』ハ長調とは、そこに明確な水準の差が見られるということです。

 第2番ハ短調は、伝統的な書法でなく、器楽的に自由な書法が取られています。たとえば、前半と後半の対応が比較的自由で、一度も完全な主題が出現しません。第1番とあえて異なる書法となったのだろうということです。そうすることで、曲集全体の性格が表しているのです。

 第3番ニ長調は、より高度なフーガの書法となっています。主題、対位主題1、対位主題2があり、三声部それぞれが転回可能という、そして6例すべての転回が曲の中で示されているということなのです。

 分析とともに、勉強のやり方の指南そして演奏の手引きも丁寧に行われました。大事なのは、片手ずつ見るのではなく、初めから複数声部を同時に読んでいくということ。内声部のみを弾く時にも指使いをきちんと保つこと、片手で二声弾く時の指の使い方と聴き方、外声部だけ弾いてみる等々、実際に弾きながら詳しく説明されました。

 次回6月23日(金)は第4番ニ短調、第5番変ホ長調、第6番ホ長調が取り上げられます。

(K.A)

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