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ミュンヘン国立音楽大学教授
今峰由香 ピアノ公開講座 開催レポート
〜ヨーロッパのレッスン風景 第6弾〜
2017年
4月14日(金) 10:30 〜 12:30
会 場 /
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 第6回を迎えたピアノ公開講座〜ヨーロッパのレッスン風景〜。今峰由香先生はミュンヘン国立音楽大学で教鞭をとられており、長年にわたってヨーロッパと日本で活躍されている気鋭のピアニストです。今回はベートーヴェンのピアノソナタ第9番Op.14-1を取り上げ、お話くださいました。

 ヨーロッパと日本では、レッスンの形式や先生のレッスンへの関わり方等に多くの違いがみられます。日本を含めるアジアの国々では初期教育に力を入れており、優れたメソッドや上達を導く手順が確立されていると、様々なレッスンのご経験から今峰先生は感じられているそうです。一方でヨーロッパでは発言が評価される教育システムの元、生徒が自発的に考えを表現することが積極的に行われています。どのように弾きたいのか自分の意見を持つことは豊かな音楽づくりには欠かせません。そのために問いかけを講師が日々していくことが大切だとおっしゃっていました。

 先生はご自身の経験も踏まえてコンクールについてもお話になりました。本来点数で表せないものであるはずの音楽がコンクールでは便宜上点数で評価がなされます。コンクールを受けることは時にステップアップのための場として有効ですが結果が必ずしも全てではありません。本当の意味で音楽を楽しめるようなレッスンをするためにも、生徒一人一人の個性を重んじた柔軟な曲選びが大切であるとおっしゃいました。

 第2部の『ピアノソナタ第9番』はベートーヴェンの名がウィーンで売れ出した頃に作曲されました。前作の『ピアノソナタ第8番』(通称「悲愴」)とは打って変わり明るい曲で、声部を意識した書き方がなされており、のちに弦楽四重奏に編曲されています。内声部に出てくる音をよく聴くことがこの曲を弾く際のポイントです。和音に関しても全ての構成音を同じ重みで弾くのではなくバランスを工夫することで透明度が出ます。また、ベートーヴェンが非常に強いこだわりを持っていたというアーティキュレーションについても、具体的にどのように弾けばいいのか、またその練習法についてご教授くださいました。

 それぞれの楽章の解説後には今峰先生による演奏。その豊かな音色に、簡素に見える曲でも非常に奥深く、その美しさを最大限に引き出すための知的な考察、テクニックを感じました。

 ただ単に演奏法を教えるのではなく、時には「生きざま」を見せ、受け継いできたものを次の世代に渡していくこと。それが先生の考える音楽講師の役割だそうです。そのためにも日々練習をし、芸術に触れ、幅広い知識を持ち感性を磨いていく。講師自身が成長していくことが必要であるという印象深いお話をうかがうことができました。

(W.T)

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