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松本和将 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲 公開講座&全曲演奏会 第8回
開催レポート
〜若き巨匠、松本和将氏による ピアノ・ソナタ全32曲講座&演奏シリーズついに最終回!〜
◆コンサート
2017 年6月16日(金) 19:00 開演 18:30 開場
♪ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 作品109、第31番 変イ長調 作品110、第32番 ハ短調 作品111
会 場/カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
2014年の夏に始まった松本和将さんによる、ベートーヴェンのソナタを全曲網羅する公開講座と演奏会のシリーズ。この日はシリーズ最終回、第30番〜第32番“後期三大ソナタ”が順に演奏されました。前半は第30番と第31番、そして後半に第32番が演奏されました。1曲目の穏やかで流れるような始まりは、柔らかな音に惹きつけられます。悲しみと夢が交錯するような31番、変奏をくり返しながらすべてが浄化されていくような32番。「ベートーヴェンがこれらの作品を遺してくれたことに、感謝している」と話すように、若い頃のエネルギッシュな作風に始まり、ベートーヴェン自身の哲学の変化を経て至る今回の連作は、全曲取り上げてきた松本さんにとっても格別のようです。
「この2年半の間にソナタを順に演奏することで、ベートーヴェンの人生を追体験してきました。彼が何を考えて、何を感じながらその曲を作曲したのか……、ひたすら考えをめぐらせながら進めてきました」と松本さん。作曲家のやさしさが凝縮されたような、慰めや励ましにも感じられる3曲の演奏でした。
終演後、ふたたびステージに戻った松本さんは、満員の客席に向け謝辞を述べました。好きな作曲家はショパンだけど、ベートーヴェンの作品で感動したと観客から伝えられたというエピソードを挙げ、「少しずつまいてきた“ソナタの種”が実を結んできている。ベートーヴェンは食指が動かないという人もなかにはいると思いますが、そのような方々にも作品の魅力を今後も直に伝えられたら」とうれしそうに話されました。ソナタ全曲シリーズは今回で終了ですが、今後もさらに深めた演奏でソナタを弾き続けてくださることでしょう。
(R.K.)
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