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松本和将 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲 開催レポート
公開講座&全曲演奏会 第7回(全8回) 
〜若き巨匠、松本和将氏による ピアノ・ソナタ全32曲講座&演奏シリーズ〜

◆公開講座
2016 年
11月2日(水)10:30〜12:30 
♪ピアノ・ソナタ 第27番 ホ短調 作品90、第28番 イ長調 作品101

会 場/カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 11月2日、松本和将先生の「ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲公開講座」の第7回が開催されました。今回取り上げられた第27番(ホ短調、作品90)と第28番(イ長調、作品101)はそれぞれ1814年と1816年に作曲されたもので、ベートーヴェン中期から後期にかけての作品です。まさにベートーヴェンの作曲様式が大きく変わっていく時期のピアノ・ソナタの奥深さを、松本先生のわかりやすい解説と熱のこもった演奏で存分に感じることのできる2時間となりました。

 第27番の第1楽章では、ドイツ語で示された “Mit Lebhaftigkeit und durchaus mit Empfindung und ausdruck”(いきいきと、そして終始感情と表情をともなって)という表記からもわかるように、感情の機微をいかに汲み取って表現するかが重要とのことです。松本先生は、f部分とp部分の対比について何度も演奏しながら解説してくださっていました。また、芥川龍之介の小説『歯車』を引き合いに出してのお話も興味深かったです。第2楽章では、「速すぎず、歌うような」テンポ設定にすること、和音の変化にも注意しながらアウトラインを感じて弾くことなど、演奏上の具体的なポイントが示されました。聴講生の方も楽譜にコメントを書き込みながら熱心に聴いていらっしゃいました。

 第28番では、フレーズ構造の妙についての解説が特に印象的でした。通常フレーズは偶数小節の単位で書かれていることが多いのですが、それが奇数小節単位でのフレーズになると、途端に不安定さを感じさせるようになります。松本先生はそのことを「悲愴」ソナタの第2楽章のフレーズをアレンジして、奇数小節で構成されたフレーズが実際どのように聞こえるのかを示しながら説明してくださいました。第28番のソナタでは、この奇数小節のフレーズが深い味わいを生み出す重要な要素となっていることが実感できました。

 松本先生がこれらのソナタを演奏されるコンサートが12月19日に予定されています。こちらも楽しみにしたいと思います。

(Y. T.)

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